人手不足が深刻化する中、小売りや外食チェーンなどでシニア世代を積極的に採用しようという動きが広がっている。コンビニエンスストアやファミリーレストランといえば、若者のアルバイトというイメージが強かったが、今後はシニアが活躍する舞台の一つになりそうだ。
コンビニ大手のローソンは2017年2月、店舗の運営責任者(オーナー)に応募できる年齢の上限を撤廃した。年齢制限をなくすことでシニア世代を呼び込もうという狙いだ。ローソンの店舗で働く60歳以上の店員はここ数年で7割増え、16年秋段階で7000人を超えているという。
「プラチナ世代」と呼ぶグループも
コンビニ最大手のセブン‐イレブン・ジャパンもシニア世代の採用を重視し、定年退職した人などに対する採用説明会を強化、シニア世代が働きやすい環境整備を進めているという。スーパーのライフを展開するライフコーポレーションや、首都圏で展開するスーパーのマルエツもシニア世代を積極的に採用している。
ファミレスのガストやバーミヤンなどを傘下に持つすかいらーくグループも「プラチナ世代」などと呼び、シニア層の採用を強化している。
こうした取り組みが広がる背景には、少子高齢化による人手不足が進み、若い働き手を確保することが極めて難しい状況になっていることがある。「首都圏のコンビニでは外国人留学生らをアルバイトで採用して何とかしのぐ店舗も多いが、それでも足りていないのが現状だ」と業界に詳しい流通関係者は話す。実際、人手不足によって、外食チェーン店が深夜営業や24時間営業をやめたり、閉店したりする動きも相次いでいる。
コンビニなど小売店の場合、レジ打ちなどやや技術の必要な作業に当たることが必要で、シニア世代には難しい仕事だと言われてきた。しかし、今や状況は変化している。