主婦がモテモテ 獲得合戦の様相

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   コンビニエンスストアやファストフードなどの小売りや外食で、「主婦」の採用が活発化している。

   いまや、どこの小売店でも店員の人手不足は深刻。その救世主になってもらおうと、主婦に「白羽の矢」が立った。家事や育児と仕事の両立から、長く勤務に就けないなどの悩みを抱え、就業をあきらめている主婦層を掘り起こしにかかっている。

  • 主婦の力に頼りたい!
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ファミマ、社長自ら「説得」に乗り出す

   コンビニ大手のファミリーマートは2017年9月19日、埼玉県さいたま市で主婦向けの採用説明会を開いた。この説明会には、沢田貴司社長自らが参加。地元の主婦およそ90人を前に、全国1万8000店舗の中から、自宅近くの店舗で1日2、3時間でも働ける「時短勤務」と、「複雑な作業をなくすなど、働きやすい店舗づくりを進める」(沢田社長)といった手軽さと働きやすさをアピールした。

   同社は、たとえば子どもが学校にいる午前中だけ働くといった働き方を提案。また、2018年春には東京都内に子育て中の店員が利用できる保育所を新設する計画で、主婦の採用に力を注ぐ。

   説明会に参加した主婦からは、勤務時間や仕事のやり方などについて、たとえば「子どもの発熱などの緊急時の対応」や「オペレーションを覚えられるかどうか、不安がある」といった具体的な質問に、先輩の女性スタッフが「主婦目線」に立って丁寧に答えた。

   同社は「思った以上に盛況で、参加いただいた主婦の方には前向きに考えていただけたと思う」と、手応えを感じているようだ。

   ファミリーマートによると、現在店頭で働く約20万人のスタッフのうち25%、5万人が主婦という。同社は2020年までに、主婦のスタッフを現在の2倍にあたる10万人にまで増やす計画で、今回のような主婦を対象とした採用説明会を、「継続的に、また全国的に開催していきたい」と意気込む。

   一方、いち早く主婦の積極採用に乗り出したのが、ファストフード大手の日本マクドナルド・ホールディングス。同社は今春(17年2~5月)、「クルーになろう。キャンペーン」を展開。その一環として3月15日に、ハンバーガーの製造や模擬接客などを体験してもらう、クルー体験会を実施した。そのときは主婦を含め、約1万8000人が参加したという。

   9月4日からは、その第2弾を展開(10月31日まで)。同社は9月21日のJ‐CASTニュースの取材に、「新たに数万人規模の主婦らを採用したいと考えています」と話す。

   クルー体験会は全国の店舗で実施。日程は店ごとで異なるが、毎週延べ1000店舗で実施。「参加者の満足度は高いです」としている。

潜在需要は700万人!? 主婦層は「宝の山」かも

   日本マクドナルドによると、実際の採用はクルー体験会後に改めて来店してもらう手順で進めているが、「仕事を経験してもらうこと、また店長の人柄などをわかって、納得して入社してもらうことで、長く勤めてもらえます」と、定着率へのこだわりをみせる。

   主婦の採用については、「当社は人手不足だから(主婦を)採用しようというより、もっと成長するために採用を増やしたいというところ。今春の採用をみても、友だちの紹介が多くなるなど方向性は間違っていないと考えています」と、狙いどおりのようだ。

   小売りや外食の人手不足は深刻。採用が熱を帯びる一方で、現在働いている主婦を繋ぎとめようと、給与や福利厚生といった待遇面の改善に注力している企業は少なくない。給与はもちろんだが、時短勤務などの働く環境を重視する傾向が強い主婦にとって、職場への通いやすさや勤務シフトの急な変更への協力体制などは大きなポイントといえる。

   厚生労働省によると、夫が就業者で妻が主に家事を担っている夫婦は705万8094組(国勢調査2015年)にものぼる。共稼ぎ夫婦は年々増えているが、この中には働く意欲があっても子育てなどの理由で働けない、潜在的な働き手が少なくない。いわば、主婦層は「宝の山」のようなものなのだ。

   ファミリーマートや日本マクドナルドに限らず、小売りや外食が「働く主婦」の発掘に力を注ぎ、主婦を積極採用する動きが加速度的に広がる可能性がある。

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