ペットと見つめ合うとオキシトシンは増える
――太ったマウスほど脂肪を減らす効果が高いのはどういうわけですか?
下村教授「他の先行研究では、肥満の度合いが高いほど、脂肪組織や脳でオキシトシンを受け取る受容体の発現が増える、つまりオキシトシンの感受性が高まるそうです。だから、高度な肥満の人はオキシトシンの分泌を増やすと体重減少効果が上がりますが、それほど肥満ではない人がオキシトシンを増やしても、感受性が低いため体重減少効果は期待できないと考えられます」
――肥満に悩む人は、どうしたらオキシトシンの分泌量を増やすことができますか? 食べ物からとるとしたら何を食べるといいですか?
下村教授「先行研究では、ペットと見つめ合うことや、マッサージを受けることでオキシトシンの分泌量が増えるという報告があります。食べ物で分泌を促すという報告はまだないようです。将来、生活習慣や食べ物でオキシトシンを増やす方法が明らかになるかもしれませんが、現段階では(治療薬など)外部からの摂取が現実的だと思います。これまで副作用は認められていません。将来、安全な形で肥満の人に提供できる治療薬の開発を目指します」