スマホの利用時間が長くなる理由は...
ただし、トゥウェンテ教授はスマホがすべての元凶であるとするのは早計だとも注意している。教授の調査ではスマホの利用時間が長い若者は、友人と過ごす時間が長い若者に比べ幸福度が低い傾向にあることはわかっているものの、iGenに起きているすべての変化がスマホと相関もしくは因果関係にあると証明した研究や調査は存在しない。精神的健康状態が悪化している人が、スマホをよく使う傾向にあるだけかもしれないのだ。
もちろん、スマホの利用時間が伸びることで生じる問題はいくつか指摘されており、人と接して社会的スキルを発達させる時間が減少している、長文を読む習慣が失われているなどのデータも出ている。
この点についてもトゥウェンテ教授は「大人が一日に数時間もパソコンと向き合いメールを送り電話をかけている姿を若者たちに見せておいて、スマホの利用時間が長いというのは説得力に欠ける話だ」とコメントしている。
興味深い調査結果もある。iGenは「スマホやSNSではなく直接友人たちと会って過ごしたい」と考えているのだ。これに対し、iGenの親世代は「友人と会うのは無駄、悪い影響を受ける」と否定する傾向にあった。
「iGenにとってスマホは必要な物なのではないでしょうか。そうした存在にしているのは誰なのか考える必要があるでしょう」
トゥウェンテ教授の調査結果は、『iGen』という書籍(洋書)として8月22日から販売されている。