民進党の前原誠司代表が2017年9月21日、代表就任から初めての定例会見に臨み、離党届を提出した議員への対応について判断基準を問われる場面があった。
不倫スキャンダルが週刊文春に報じられ、民進党がダメージを受けたことが解散の引き金になったとの見方もある山尾志桜里衆院議員(愛知7区)は離党が認められる一方で、すでに離党した細野豪志衆院議員(静岡5区)のグループに所属する3衆院議員は離党届が受理されず除籍(除名)処分になった。記者からは「国民の倫理観と党の倫理観で乖離があるのではないか」といった疑問の声もあがったが、前原氏は「報道については本人しか分からない」などと釈明した。
自民は豊田真由子衆院議員(埼玉4区)らに「対抗馬」
民進党の常任幹事会は9月19日、離党届を提出していた笠浩史(神奈川9区)、後藤祐一(神奈川16区)、鈴木義弘氏(比例北関東)の3衆院議員を同日付で除籍(除名)処分にすることを決めた。3人は細野氏が結成した党内グループ「自誓会」に所属しており、細野氏らが結成する新党に合流するとみられる。山尾氏は9月7日夜に離党届を提出し、翌8日午前の常任幹事会で受理されている。
こういった離党議員をめぐり、自民党と民進党が異なった方針で臨む可能性もありそうだ。自民党の二階俊博幹事長は9月19日の記者会見で、
「政権政党としての自民党が、選挙になって候補者がいないということはない」
と発言。豊田真由子衆院議員(埼玉4区)らを念頭に、対抗候補を擁立する考えを明らかにした。
一方、無所属で出馬するとみられる山尾氏らへの対応を問われた前原氏は5秒以上黙り込んだ末に
「離党者については、そこに候補者を立てるかどうかについては、従来から申し上げているとおり、総合的に判断するということになる。それは山尾さんの選挙区も同じ」
と述べるにとどめた。
これに加えて、山尾氏の離党が認められ、笠氏らが除籍になったことを
「(3人は)反党行為ということで除名(除籍)だと思うが、一般に対するイメージの悪化という点では、やっぱり山尾さんの方がイメージで足を引っ張ったのではないか」(政治ジャーナリスト・安積明子氏)
「この扱いの差で、国民の倫理観と党の倫理観で乖離があるのではないか」(同)
などと疑問視する声も出た。
「報道については本人しか分からない」
前原氏は笠氏らについては
「新たな執行部体制がスタートする前から離党をほのめかしており、そのスタートを切った後も、実際にその行動を取られたということで、反党行為としての除籍処分を決めさせていただいた」
と処分への理解を求める一方で、山尾氏については
「報道については本人しか分からない。その中でご本人は、自分自身が記者会見でおっしゃっていたとおり、自分自身の事実関係は述べられた上で、しかし党にはこれ以上迷惑をかけたくないと、こういうご判断の中で離党届を出された」
と説明。幹事長に内定している状態でのスキャンダル発覚を前原氏がどう受け止めるかについては言及しなかった。
また、前原氏は会見冒頭、臨時国会冒頭の衆院解散が確実視されていることについて
「我々は6月12日から『国会を開け』ということで、憲法53条に基づいて国会の開会要求を野党4党で行ってきた。にもかわらず、今まで延ばしに延ばし、ようやく国会を開くと思えば、議論もせずに冒頭解散。これは戦後初の暴挙」
などと非難した。