「ケチっているのか」と誤解の種に
番組が紹介した「葬儀の平均費用」は、119万円。決して安い金額ではない。故人は「質素な葬儀を」と望み、遺族はその通りにしようと「安い葬式プランで」と業者に発注しようとする。ところがもし周りに、故人の遺志を知らない親戚が大勢いたらどうだろうか。「家族は葬式費用をケチっているのか」と疑わないとも限らない。
高額の葬儀代を、亡くなった本人の預貯金から賄おうとするが、銀行口座はすでに「凍結」されている場合が多い。死後は「遺産」となり、勝手に扱われないようにするためだ。そこで遺族は大金を建て替える必要がある。さらに葬儀の日はすぐにやってくる。限られた時間で参列者を募らねばならないが、急な話なので相手も都合があり、なかなか人数を確定できない。
ドタバタのなか、何とか葬儀を終えたところに、業者からの請求書が回ってくる。見ると、最初の見積もりをはるかに上回る金額が書き込まれていた。初めに見たのは「基本プラン」。そこから人数によって食事代や酒代、香典返し、生花代が加算されたのだ。「質素」どころか、金額面では超豪華になってしまった。しかも支払いは亡くなった本人ではなく、遺族が背負うことになる。
自分が亡くなった後、家族に葬式で迷惑をかけたくない。そう思ったら単に「葬儀は簡単でいい」と言い残すだけでは不足だ。生前に自ら積極的にプランを組んでおくべきだと中田さんは強調する。そこで自身が、葬式プランを立ててみたと披露した。
中田さんは、予算はあらかじめ200万円と決めた。この範囲内で「来てくれた人が主役になるような葬儀がいい」と希望したところ、業者から「リビング葬」を提案されたという。リビングルームのような落ち着いた場所で開く式だ。参列者の人数は50人とした。
「自分の葬式の準備をしておくことは遺族を傷つけないための義務」
中田さんは最後に、こう訴えた。