夢のダイエット薬!? 貼るだけで脂肪燃焼 米の大学が開発、マウスの実験で20%減

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   お腹回りの頑固な脂肪をつまみながら、「あ~あ、脂肪吸引で全部とっちゃいたい!」と思ったことはないだろうか。そんなアナタに朗報かも。皮膚への貼り薬で脂肪が溶けるという夢のような治療法が開発された。

   米コロンビア大学メディカルセンターの研究チームがマウスの実験で成功、米国化学会の学術誌「ACS Nano」(電子版)の2017年9月15日号に発表した。

  • 落としにくいお腹回りの脂肪が溶ける!
    落としにくいお腹回りの脂肪が溶ける!
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頑固で落としにくいお腹回りの脂肪が溶ける!

   国民の35%以上が肥満という「肥満大国」米国では、お腹回りの脂肪のことを「愛のハンドル」(love handles)と呼ぶそうだ。愛おしい相手の腰に手を回した時に、脂肪がやわらかく心地よいからだという。手を回す行為が車のハンドルを操作することに似ていることもある。

   コロンビア大学の9月15日付プレスリリースは、「わが大学のリー・チャン准教授らが開発したスキンパッチ(皮膚の貼り薬)は、脂肪吸引治療に替わり、この望ましくない『愛のハンドル』を燃やし、肥満症や糖尿病の治療に使用できる。間違いなく多くの人々が興奮するだろう」と、やや興奮気味だ。

   それによると、スキンパッチの仕組みはこうだ。カラダには2種類の脂肪組織がある。白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞だ。白色脂肪細胞は余分なエネルギーを脂肪として蓄える。肥満の原因はこちらの白色細胞のせいだ。一方、褐色脂肪細胞は、脂肪を燃焼させて熱を発生させるミトコンドリアが多く、脂肪を熱エネルギーに変える働きをする。生まれたばかりの赤ちゃんは褐色細胞が非常に多い。丸裸で寒さから身を守るために体内で熱エネルギーを作る必要があるからだ。

   ところが成人期には褐色細胞はほとんど失われ、白色細胞が増えていく。だから、白色細胞を減らし、褐色細胞を増やすと脂肪の燃焼になるわけだ。白色細胞を褐色細胞に変えるには、ロシグリタゾンなどの成分を白色細胞内に注入すればよいことがわかっている。しかし、効果的に注入する方法が見つからなかった。

ナノ粒子の薬が直接脂肪細胞に届き、燃やす

   チャン准教授らはナノテクノロジー(超微細技術)を利用して、ロシグリタゾンなどの成分を直接白色細胞に届ける方法は開発した。1ナノメートルは100万分の1ミリだ。薬の成分は髪の毛の400分の1の直径250ナノメートルのナノ粒子に入っている。

   皮膚に貼るスキンパッチには、同じく直径が極小の針がビッシリ生えている。針がきわめて細いので、針が皮膚に刺さっても痛みは感じない。この針の中を通ってナノ粒子の薬が白色脂肪細胞に届けられ、褐色脂肪細胞に変わっていく仕組みだ。マウスで実験すると、4週間スキンパッチを貼ると、その部分の下の脂肪が20%減少した。スキンパッチは3日ごとに交換された。

   チャン准教授はプレスリリースの中でこう語っている。

「ナノ粒子は薬剤を効果的に保持し、徐々に崩壊します。しかし、薬の成分は体全体に拡散するのではなく、近くの脂肪組織に持続的に放出するよう設計されています。だから効果が大きいのです。また、パッチを貼ったマウスは、貼らなかったマウスに比べ、血糖値が低くなり、酸素消費量(代謝活性の尺度)が増えました。特に副作用もありませんでした。私たちのパッチが、糖尿病や肥満症、代謝異常を治療するうえで、安全かつ有効な手段を提供できるかもしれません」
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