ナノ粒子の薬が直接脂肪細胞に届き、燃やす
チャン准教授らはナノテクノロジー(超微細技術)を利用して、ロシグリタゾンなどの成分を直接白色細胞に届ける方法は開発した。1ナノメートルは100万分の1ミリだ。薬の成分は髪の毛の400分の1の直径250ナノメートルのナノ粒子に入っている。
皮膚に貼るスキンパッチには、同じく直径が極小の針がビッシリ生えている。針がきわめて細いので、針が皮膚に刺さっても痛みは感じない。この針の中を通ってナノ粒子の薬が白色脂肪細胞に届けられ、褐色脂肪細胞に変わっていく仕組みだ。マウスで実験すると、4週間スキンパッチを貼ると、その部分の下の脂肪が20%減少した。スキンパッチは3日ごとに交換された。
チャン准教授はプレスリリースの中でこう語っている。
「ナノ粒子は薬剤を効果的に保持し、徐々に崩壊します。しかし、薬の成分は体全体に拡散するのではなく、近くの脂肪組織に持続的に放出するよう設計されています。だから効果が大きいのです。また、パッチを貼ったマウスは、貼らなかったマウスに比べ、血糖値が低くなり、酸素消費量(代謝活性の尺度)が増えました。特に副作用もありませんでした。私たちのパッチが、糖尿病や肥満症、代謝異常を治療するうえで、安全かつ有効な手段を提供できるかもしれません」