夫婦間、異なる血液型、高齢者の移植が増加
名古屋大学のサイトにはさらに明確に、「本人の希望があっても、友人や善意の第三者の方からの生体腎移植はできません」と書かれている。ゴメスさんが手術を受けた米国とは、事情が異なるようだ。
日本国内の場合、日本移植学会の倫理規定として「原則として親族(6 親等以内の血族と配偶者および 3 親等以内の姻族)に限定する」と決められている。名大のサイトにもこのことが明記されており、「実際には、両親や兄弟(姉妹)、配偶者からの移植が多く行われています」と補足がある。
日本移植学会の「臓器移植ファクトブック2016」によると、2015年に行われた生体腎移植は1494例で、前年から17例増となった。死体腎移植(献腎移植)と合わせて移植数全体が増加傾向にあるが、押し上げているのは生体腎移植だという。これは「夫婦間など非血縁間の移植、血液型不適合移植、高齢者の移植」の増加と、「献腎移植を希望し腎移植登録しているにもかかわらず提供者が少ないために、生体腎移植に踏み切る症例もあることが予測されます」とのこと。
有名人では演歌歌手の松原のぶえさん(66)が2009年、腎不全のため生体腎移植手術を受けたが、ドナーは実弟だった。松原さんは現在も、元気に歌手活動を続けている。