9月末解散、異例の「急造大義」 過去20年でマシだったのは?

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   2017年9月28日に召集される臨時国会冒頭で、安倍晋三首相が衆院を解散する流れが決定的になってきた。9月18日に安倍晋三首相と会談した自民党の二階俊博幹事長は、翌19日朝の役員連絡会で

「『早期解散を検討しているが、時期については国連総会から帰国してから決めるので、お願いしたい』。このようなことが発言としてあった」

と、安倍首相の早期解散の意向を明言した。公示は10月10日、投開票は10月22日の公算が大きい。衆院解散は政府・与党が「勝ちやすい」タイミングを選んで行われる傾向がある一方で、「大義」も必要だと考えられている。すでに争点になりそうなテーマがいくつか指摘されているものの、二階氏は現時点では「大変重要な視点をついておられる」と述べるにとどめている。仮に「9月末解散」ということになれば、過去の解散と比べても急ごしらえの「大義」で選挙戦に突入することになりそうだ。

  • 前回の「アベノミクス解散」(2014年11月)の際に記者会見する安倍晋三首相
    前回の「アベノミクス解散」(2014年11月)の際に記者会見する安倍晋三首相
  • 前々回の「近いうち解散」(2012年11月)で記者会見する野田佳彦首相(当時)。直後の衆院選で民主党(当時)は政権を失った
    前々回の「近いうち解散」(2012年11月)で記者会見する野田佳彦首相(当時)。直後の衆院選で民主党(当時)は政権を失った
  • 前回の「アベノミクス解散」(2014年11月)の際に記者会見する安倍晋三首相
  • 前々回の「近いうち解散」(2012年11月)で記者会見する野田佳彦首相(当時)。直後の衆院選で民主党(当時)は政権を失った

あと1週間強で「大義」の建て付けを...

   今回の「解散風」をめぐっては、

「まさに自己保身解散に走っている」(前原誠司・民進党代表)
「何を目的にするのか、大義ということについては分からない」(小池百合子・東京都知事)

などと各所から「大義」のなさを指摘する声が相次いでいる。前出の自民党の役員連絡会直後の会見では、記者が

「安倍総理は選挙の争点について、消費税を10%に引き上げ、その財源を教育・子育て支援に回すことを公約に入れて、それを争点とする方針ということだが、それについて幹事長はどうお考えか」

と質問したのに対して、二階氏は

「大変重要な視点をついておられると思う。このことに関して、これから政調会を中心にして党内で色々議論をして政策の中身を固めて、国民の皆様から、そのことに対してご意見を仰ぐ。こういう姿勢で臨んでいくことは当然」

と述べた。あと1週間強で「大義」の建て付けを迫られることになる。

過去20年で「神の国解散」「郵政解散」...

   過去20年の衆院では、今回を除けば解散は6回。(1)いわゆる「神の国」発言で不信任決議案が提出され、直後に解散に踏み切った00年6月の「神の国解散」(森内閣)、(2)国政選挙で初めて各党が政権公約(マニフェスト)を掲げて争うきっかけになった03年10月の「マニフェスト解散」(小泉内閣)、(3)郵政民営化法案が参院で否決され、法案の是非を改めて衆院で問うとした05年8月の「郵政解散」(小泉内閣)、(4)自民党が下野するきっかけになった09年7月の「追い込まれ解散」(麻生内閣)、(5)消費増税を柱にした「社会保障と税の一体改革」関連法案成が成立した際に「近いうち」に信を問うとしていた12年11月の「近いうち解散」(野田内閣)、(6)消費税率の10%への引き上げの再延期やアベノミクスの是非が争点になった14年11月の「アベノミクス解散」(安倍内閣)だ。

   こう見ていくと、(3)(6)はどちらかと言えば特定の政策が争点で、(4)(5)は政権そのものを選択する意味合いが強いと言えそうだ。

   支持率低迷の末に解散を余儀なくされた(1)(4)も、一応の争点らしきものは示されていた。(1)の「神の国解散」では、森喜朗首相(当時)が00年6月2日の閣議で

「景気対策や九州・沖縄サミットもあるので、国民に信を問うため解散を決意した」

と解散を明言。同日の衆院本会議で不信任案決議案が提出された直後に解散詔書が読み上げられた。(4)の「追い込まれ解散」では、麻生太郎首相(当時)が09年7月21日、記者団に対して

「どの党が皆さんの生活を守り、日本を守るか。これが争点」

と述べている。

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