ライブ中に歌手に合わせて客が「合唱」する光景は珍しくないが、シンガーソングライターの山下達郎さんは快く思っていない。
山下さんは自身のラジオ番組で、客の合唱について「一番迷惑」とバッサリ切って落とした。歌手側からこうした意見が出たことで、インターネット上ではさまざまな角度からの意見が出ている。
「僕の隣でそういうおじさんがいたら、僕は言いますよ」
「山下達郎のサンデー・ソングブック」(TOKYO FM)2017年9月17日放送回で、山下さんが「ひとつ、気になるお便りですが...」と苦笑いしながら取り上げたのは、合唱についての男性リスナーからの質問だった。
山下さんのライブ中、「大盛り上がりの場面でついつい大声で達郎さんと合唱してしまいます」という男性。「となりの妻からは『あなたの声しか聞こえない』と大ヒンシュクです」と叱りを受けているが、「周りの方にもご迷惑かも。これってダメでしょうか?」と尋ねている。
「ダメです。一番迷惑なアレです。あなたの歌を聞きに来ているのではないのです」
質問を読むなり、間髪入れずに山下さんはそう回答した。トーンは落ち着いており、あまり冗談には聞こえない。さらに「僕の隣でそういう(合唱している)おじさんがいたら、僕は言いますよ」と断言しながら「ふふふ」と笑いをこぼしていた。
山下さんが多くの客にライブを楽しんでもらいたいという気持ちは大きいようだ。同じリスナーはもう1つ、「(山下さんの)コンサートチケットには『3歳以下のお子さんは無料』とあるので、孫をライブデビューさせたい」との相談を寄せていた。山下さんは
「『就学児童以下は入れない』というライブがありますが、私のところはしておりません。核家族化が進んでいるのは知っておりますので、子どもさんが入れないとなると、お母さんがライブに入れないことになります」
と、できるだけ多くの人に会場に足を運んでもらいたい考えが伺える。ただ、「小さなお子さんがひたすら泣かれるとライブに支障をきたしますので、お母さんなりお父さんなりが連れて出られるとか。そうした一般常識の節度をお守りいただければ」と、客席からの「声」には配慮を呼びかけていた。
「客にマイク向けた時は歌えばいいんだよ それ以外に歌うなって事よ」
この「合唱は迷惑」発言に、インターネット掲示板では多くが山下さんに理解を示している。「本物をじっくり聴きたい」という意見が多い。
「本人からこうバッサリいうの良い」
「ライブ行って本物と一緒に歌うのってバカじゃないの カラオケ行っとけよ」
「年配のおじいさんが隣で歌うのは何回か経験したけど、迷惑やった」
「アーティストの生歌聴きたくて来てるので、知らん奴に近くで終始歌われるのはちょっと勘弁だよね」
「アーティストによる」とする声もある。ただ「行ってみれば解るが達郎のコンサートは客が歌うもんじゃない」などとして、山下さんのライブの雰囲気が合唱に適さないという捉え方が多いようだ。一部では「個人の自由やん」「夢中になって歌いたい気持ちは分からなくもない」との投稿もあった。
一方で、ライブ中にマイクを客席に向けて合唱を促す歌手もいる。こうしたケースを念頭に「歌手が求めてるなら歌う。求めない限り歌うべきではないと思う」「客にマイク向けた時は歌えばいいんだよ それ以外に歌うなって事よ」と、同じ歌手でもその場その場で分別をつけるべきとする意見もあった。