「電柱にぶつかった」「滑って階段から落ちた」。いずれも「歩きスマホ」中に起きたとして、ここ1か月以内にツイッターで投稿された「事故」だ。歩きスマホはもはや社会問題化した。
「危険だろうけど自分は大丈夫」。そう油断しているスマホユーザーの目を覚ますような動画が、ユーチューブに公開され、反響を呼んでいる。
「スマホ・ゾンビ」になっていませんか?
下を向き、無表情でスマートフォンを見ながら歩く若者たち。通路を進むと突然、床に映像が投影され、何体もの「ゾンビ」がうめき声をあげながら襲い掛かってくるような映像が流される。
若者たちは「ワッ」と声をあげたり、思わず後ずさりしたり、誰も彼も驚いたリアクションを見せる。同時にスマホからは目を離す。「『ゾンビ』が出てきて、初めて周りが目に入った感じがしました」。ドッキリのターゲットとなった1人は、歩きスマホの危険性に気付かされたと振り返っている。
実はこの動画はゾンビがうごめく世界を舞台にした人気スマホゲーム「ラスト エンパイア ウォー Z」が仕掛けた「ドッキリ」企画だ。歩きスマホの啓蒙を図っている。
「ゾンビ」と「スマホ」はもともと無関係ではない。「歩きスマホ」をする人は、海外では「スマホ・ゾンビ(スモンビー)」と呼ばれる。ゆっくりと歩き、無表情で注意力に欠けているさまがゾンビのようだというわけだ。2015年には、ドイツの出版社が主催するユース・ワード・オブ・ザ・イヤー(若者言葉の流行語大賞)に「スモンビー」が選定された。
年々増加する「歩きスマホ」事故
日本でも、歩きスマホをやめるようポスターで呼びかける駅や、条例で禁止を定める自治体があるが、事故は起き続けている。
東京消防庁の統計では、「歩きスマホ等にかかる事故」で救急搬送された人数が2014年は31人だったが、2015年は42人、2016年は50人と着実に増加した。具体的な事故事例を見ると、
「歩きながらスマートフォンを操作していたところ、下り階段に気が付かず踏み外し、5段ほど下に転倒し足部を受傷した」(22歳女性)
「通学先からの帰宅途中、駅ホーム上においてスマートフォンを見ながら歩行中、誤ってホーム上から線路に転落し腰部を受傷した」(19歳女性)
といったもののほか、「歩道を歩行中に前からスマートフォンを操作しながら歩いてきた歩行者とぶつかって転倒し、尻もちをつき受傷した」(80歳女性)と、歩きスマホの人との衝突で負傷してしまったという事例もある。
「スマホ・ゾンビはみっともない」。おぞましいゾンビキャラクターを使いながら、そんな啓発メッセージを込めた今回の動画。歩きスマホを自制する一助になるか。動画には、韻を踏んだこんなタイトルがつけられている。
「Don't be a Zombie, Fight Zombies(ゾンビになるな、ゾンビと戦え)」
スマホゲーム「ラスト エンパイア ウォー Z」のダウンロードは、iOS版はこちら、Andoroid版はこちらから。