妊娠中の喫煙が胎児に害を与えるメカニズム解明 「電子タバコにも同様のリスク」と研究者

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   妊娠中の女性にとって禁忌とされるものと言えば、飲酒と喫煙(受動喫煙も含む)だろう。

   母親の喫煙が胎児に長期的な健康問題を起こすことは知られており、肺や気道の発育不全、呼吸器系感染症や喘息リスクの増加など多くの問題が確認されている。

   しかし、なぜ喫煙が胎児にこのような影響を及ぼすのか詳細なメカニズムは不明点も多く、豪州シドニー工科大学(UTS)やロイヤル・ノース・ショア病院、タイのチュラーロンコーン大学による共同研究チームが検証を行った。

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ニコチンよりもフリーラジカルが危険

   日本産婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン」では妊婦の喫煙が胎児や母乳、子どもの将来の健康に悪影響を及ぼすと明記されており、妊娠初期に禁煙指導を行うことが推奨されている。

   研究チームは当初、タバコに含まれるニコチンが母体と胎児の健康に悪影響を与えると推測していた。

   しかし、豪州やタイで喫煙ないしタバコの煙に汚染された環境下にいた妊婦や生まれた子どもたちを解析したところ、ニコチン以上に有害な存在が確認されたという。それが「フリーラジカル」だ。

   フリーラジカルは他の原子や分子とすぐに反応する性質を持っている。これが喫煙によって有毒な化学物質とともに体内に取り込まれ、血流を介して全身にいきわたることが問題だと、研究を行ったUTSのブライアン・オリバー博士は指摘している。

「フリーラジカルは漂白剤に使用される過酸化水素のような存在であり、体内の組織を漂白するように化学的に変異させてしまうのです。この一連の反応が母体だけでなく発達途上の胎児にも広がっていました」

   過去に行われた別の研究では、過剰なフリーラジカルが全身の疾患リスクを高めることが確認されている。がんリスクの上昇を指摘する研究もある。喫煙によってわざわざフリーラジカルを取り込んでしまい、これが胎児の健康悪化にもつながっていたのだ。

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