「スーパーカップ」の愛称で知られる「明治エッセルスーパーカップ」といえば、手ごろな価格と大きめのサイズが売りの、明治のロングセラーアイスだ。発売以来20年以上、カップアイスとしては業界トップクラスのシェアをキープしている。
ところが、その「スーパーカップ」という呼び名が、「正しい」ものではないのでは?という噂が広がっている。実際のところはどうなのだろうか。
公式サイトはいずれも「エッセル」表記
「明治エッセルスーパーカップ」は、1994年に発売された。当時、「究極の100円カップアイス」と称され高級商品で培った技術力を活用(日本食料新聞、94年9月5日付)、登場直後に同価格帯のトップシェアを獲得した。以来、現在にいたるまで人気をキープしている。なお、「IT mediaビジネスONLINE」の取材に担当者が語っているところによれば(「『明治 エッセルスーパーカップ』が売れている、控え目な理由」、2017年6月14日)、発売以来、味は微調整を加えながらもほとんど変わっていないという。
このアイスのことを、多くの人は「スーパーカップ」の名前で認識しているだろう。ところが、その正式な略称が実は「エッセル」らしい、という話題が、ここのところツイッターなどで盛り上がっている。
きっかけとなったのは、明治による公式サイトだ。アレンジレシピや、豆知識などが掲載されているのだが、それぞれ「エッセル スマイルレシピ」「シッテル?エッセル!」など、「エッセル」という言葉が、コーナー名として用いられているのである。ページのURLに使われているのも「essel(エッセル)」だ。
この事実に気づいた人がツイートしたことをきっかけに、「バイレーツ」などのニュースサイトやまとめブログにも次々と取り上げられ、
「おまえ、スーパーカップじゃなくてエッセルが名前だったんだな......」
「エッセルなんてどこに書いてあったかな......」
「スーパーカップの文字の方が大きいんだもん、これはもうエッセルじゃないよ、スーパーカップだよ」
などと驚き、戸惑い、あるいは混乱する声がツイッターでは相次いだ。
「できればエッセルと呼んでほしいですが...」
真相を探るべく、明治の広報担当者に電話取材した。
「商品名は『明治エッセルスーパーカップ』です。ただ、略するとすると、社内では『エッセル』と呼んでいます」
そもそも明治では過去に、「エッセル」(1991年)というアイスを販売していた。現在の「エッセルスーパーカップ」は、その「エッセル」を前身としており、名前もそこから引き継いだという経緯があるのだ。
歴代のパッケージを見ても、発売以来「エッセル(Essel)」の文字は必ず描かれており、特に94年の初代ロゴは、「スーパーカップ」とほぼ変わらないサイズだ。2001年バージョンではかなり小さくなったが、2009年のリニューアルで「復権」、現在に至るまで存在感を保っている。なお、エッセルは「エクセレント(非常に優れた)」と「エッセンシャル(絶対に必要な、基本的な、主要な)」を元にした造語だという。
では、私たちも「エッセル」と言うべきなのだろうか。「できれば『エッセル』と呼んでほしいですが......」と言う担当者だが、最後には朗らかにこう付け加えた。
「お客様には、馴染みのある方で呼んでいただければと思います」