老化細胞を除去するとなぜ治療できる?
ところで、老化細胞を除去するだけで都合よくさまざまな疾患に何らかの影響を及ぼすことができるのだろうか。
カークランド博士は論文の中で「体に影響を与えるのは、複数のプロセスの組み合わせだ」と指摘している。つまり、疾患は何らかの絶対的なプロセスによって引き起こされるのではなく、炎症やDNAの損傷・変異、細胞損傷・機能不全、老化細胞の蓄積といった複数のプロセスの組み合わせの結果による。
これらのプロセスは互いにリンクしており、例えばDNA損傷が老化細胞蓄積を引き起こすといった相補的な関係にあるのだ。つまり、老化細胞を除去する方法が確立されれば他のプロセスにも影響を与え、疾患の抑制や治療にも効果を発揮することが期待できるという。
今後順調に臨床試験まで進み、老化細胞を減らすことで組織や器官が若返ることも確認できれば、奇跡の若返り薬が登場するのも夢ではないかもしれない。