安倍晋三首相、衆院解散を決断か。2017年9月17日、新聞・テレビが一斉に伝えたニュースに、各界からの反応が相次いでいる。
「受けて立つ」と応じた野党、解散の「大義」への疑問――早ければ9月末とも見込まれる解散に向かい、議論が加速し始めた。
朝日、産経、日経が朝刊1面に
「首相、年内解散を検討」(朝日新聞)
「首相 衆院解散を決断」(産経新聞)
「早期解散強まる」(日本経済新聞)
朝刊の一面で、各紙がそろって報じたのは三連休さなかの17日だ。NHKも17日未明、ウェブ版で「臨時国会の冒頭 衆院解散の見通し」と報じた。
一時は「危険水域」といわれる30%ラインにまで落ち込んだ内閣支持率だが、直近の調査では40%台に回復している。一方、野党・民進党は前原誠司新代表の就任後も、山尾志桜里衆院議員の「不倫スキャンダル」や「離党ドミノ」に揺れ、「小池新党」もまだ先行き不透明だ。打って出るなら今――安倍首相がそう判断した、との見方で、各紙は一致している。
早ければ臨時国会召集日の9月28日に解散、10月内に総選挙が行われる見込みだ。
枝野氏「野党にとって解散は歓迎」
こうした動きに、野党側もすぐに反応した。民進・枝野幸男氏は17日朝のツイッターで、「衆議院解散のようです。しっかりと受けて立ちたいと思います」とした上で、
「森友・加計問題から逃げ回り、国会が開かれると逃げられないから解散。あからさまな疑惑隠し解散です。北朝鮮問題を抱える中、党利党略で選挙による政治空白が生じることにもなります。この選挙はこの時期の解散の適否がひとつの争点です」
と、「解散の是非」そのものを争点に戦うとの意思を示した。苦戦が予想されるが、
「選挙がないと議席が増えないから、野党にとって解散は歓迎です。厳しい状況ですが、予想を覆し大善戦した英国労働党の例もあります。問われているのは、臨時国会召集という憲法上の義務に違反し、ようやく召集したら質疑もせず解散する判断です。疑惑追及がイヤで逃げた、隠したと言われて当然です」
と、強気の姿勢も見せる。
日本共産党の志位和夫委員長も17日午前、
「一体、何のための解散か。冒頭解散となれば、北朝鮮問題を利用し、国政私物化疑惑に蓋をして、『今やれば多数を取れる』という党略的打算のためだけの解散となる。堂々と迎え撃ち、必勝を期し奮闘したい」
とツイートする。
一方、小池百合子都知事の側近と目される若狭勝衆院議員は、17日朝の「新報道2001」(フジテレビ系)で、以前からこの時期の総選挙は予想していたとして、
「準備はそのこと(総選挙)を想定して、着々と進めてきていると言えます」
と断言、16日にスタートしたばかりの、自ら率いる「輝照塾」の塾生の擁立も含め動いていることを明かした。
猪瀬直樹氏「国家の存立を人質にするようなもの」
上記のとおり、野党側は、北朝鮮情勢が緊迫する中での解散は「党利党略」を優先するものだとして、批判を強めている。
元東京都知事で作家の猪瀬直樹氏も17日未明のツイートで、
「北朝鮮ミサイル危機のなかで解散・総選挙をやれば有利という考え方は、国家の存立を人質にするようなもので政権の正統性を踏みにじる行為ではないだろうか」
と厳しい見方を示した。
また、ロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」のボーカル・後藤正文さんも、枝野氏の発言を引用しつつ、このようにつぶやく。
「あんだけ煽っているミサイル危機の最中に選挙って大丈夫だろかと、ナイーブなミュージシャンのひとりとしてつぶやいておきます」