「結核」新規患者減も増える外国人患者 欧米と比べて罹患率高い日本

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   毎年9月24日~30日は「結核予防週間」だ。厚生労働省が発表した2016(平成28)年の結核登録者情報調査年報集計結果によると、結核による死亡者数、新規患者数はともに前年比で減少した。

   一方で外国生まれの新規患者数は増加。政府は2020年までに、人口10万人当たりの結核罹患率を10人以下に抑える目標を立てている。増える訪日外国人がかぎをにぎるかもしれない。

  • せきや微熱が長く続くようなら、早めに医療機関へ
    せきや微熱が長く続くようなら、早めに医療機関へ
  • せきや微熱が長く続くようなら、早めに医療機関へ

10万人当たり13.9人は「低まん延国」ではない

   2016年の結核による死亡者数は1889人で、前年から67人減。記録の中で最も古い1950年(昭和25年)の6分の1以下、昭和から平成に代わった1989年と比べても半分にまで減った。新たな結核患者は1万7625人で、これも前年から655人減だ。ただし減少率は3.6%で、これは2014年から15年の減少率6.8%より小さくなった。

   人口10万人当たりの結核罹患率は13.9人で、前年の14.4人から減少した。アジアで比較すると、シンガポールが39人、中国58人、韓国75人(いずれも2015年のデータ)など、日本よりずっと多い。ところが欧米は、米国2.8人、カナダ4.6人、イタリア5.8人、英国9.0人(同)と、逆に日本より下回っている。

   世界保健機関(WHO)は、10万人当たりの罹患率が10人以下の国を「低まん延国」と定義しており、日本は2020年までにここを目指している。

   日本では高齢者ほど結核罹患率が高く、また都道府県別では大阪府、東京都、愛知県といった都市圏で罹患率が高かった。もう1点、集計結果の中で指摘されたのが外国生まれの新規患者数だ。前年から174人増の1338人。年齢別で特に多かったのが20~29歳で、712人に達した。入国5年以内の人は、前年から103人増えて608人となった。

感染してもすべての人が発病するわけではない

   結核罹患率との明確な因果関係は分からないが、訪日外国人数が年々増加しているのは確かだ。観光庁が公表している「訪日外客数」で、2016年は過去最多となる2403万9700人を記録した。前年比21.8%増で、2013年から2.3倍増、2006年と比べると3.3倍増だ。

   都市部での外国人住民も増えている。総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によると、2017年1月1日現在の外国人住民は、東京都48万6346人、愛知県21万7218人、大阪府21万5057人となっている。いずれも前年より7000~4万弱ほど増加した。

   政府は2020年の東京五輪に向けて、訪日外国人観光客を4000万人に倍増させるとしている。訪問者数が激増すればそれだけ、病気を未然に防ぐ対策も必要だ。結核の場合は感染が懸念される。公益財団法人結核予防会はウェブサイトで、結核を発病している人がせきやくしゃみで外に菌を出し、それをほかの人が吸いこむことで感染の危険性があるとする。ただし、必ず感染するとは限らず、多くの場合は「体の抵抗力により追い出されます」とある。また、感染した場合でもすべての人が発病するわけではない。

   48歳の記者も20代後半で、結核と診断された。勤務先の健康診断で肺のエックス線検査で3回「影がある」と指摘されたのだ。ただ自覚症状は一切なく、医療機関で投薬治療を受けた結果、発病することなく半年弱で完治した。

   もちろん、せきやたん、発熱といった症状が長く続くようなら発病している可能性がある。「不治の病」とされた昔と違って、現代では治療により治る病気だ。早めの対処を心がけたい。

姉妹サイト