感染してもすべての人が発病するわけではない
結核罹患率との明確な因果関係は分からないが、訪日外国人数が年々増加しているのは確かだ。観光庁が公表している「訪日外客数」で、2016年は過去最多となる2403万9700人を記録した。前年比21.8%増で、2013年から2.3倍増、2006年と比べると3.3倍増だ。
都市部での外国人住民も増えている。総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によると、2017年1月1日現在の外国人住民は、東京都48万6346人、愛知県21万7218人、大阪府21万5057人となっている。いずれも前年より7000~4万弱ほど増加した。
政府は2020年の東京五輪に向けて、訪日外国人観光客を4000万人に倍増させるとしている。訪問者数が激増すればそれだけ、病気を未然に防ぐ対策も必要だ。結核の場合は感染が懸念される。公益財団法人結核予防会はウェブサイトで、結核を発病している人がせきやくしゃみで外に菌を出し、それをほかの人が吸いこむことで感染の危険性があるとする。ただし、必ず感染するとは限らず、多くの場合は「体の抵抗力により追い出されます」とある。また、感染した場合でもすべての人が発病するわけではない。
48歳の記者も20代後半で、結核と診断された。勤務先の健康診断で肺のエックス線検査で3回「影がある」と指摘されたのだ。ただ自覚症状は一切なく、医療機関で投薬治療を受けた結果、発病することなく半年弱で完治した。
もちろん、せきやたん、発熱といった症状が長く続くようなら発病している可能性がある。「不治の病」とされた昔と違って、現代では治療により治る病気だ。早めの対処を心がけたい。