中国の韓国製品ボイコット 真の被害者は誰か

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地方自治体の本音

   しかし、塩城においてボイコット運動は流行しているとはいえない。塩城は長年韓国との密接な関係を誇りにしてきており、この都市には韓国グルメストリートや韓国語の道路標識があり、高速道路沿線や工場の外側には韓国の国旗が翻っている。

   塩城には巨大な韓国工業パークがあり、さらに3社の起亜工場がある。現地のある中国共産党官僚によると、これらの工場には約3万人にものぼる現地雇用者がおり、2003年に起亜が塩城にやってきてから、塩城の規模は2倍に拡大したという。

   それ以前は、農業が塩城の唯一の産業だったが、今では発展する製造業の中心となっていて、南方の上海まで達する高速鉄道も建設中だ。広い道路には自動車が溢れているが、そのほとんどが起亜のものである。

   先述の官僚は「塩城の成功はほとんどが韓国のおかげ」だという。起亜および起亜を支えるために興った現地の自動車部品供給産業は、塩城の税収の6割程度を占め、塩城およびこの都市のかなりの部分の労働者と起亜の運命は切っても切れないものとなっている。

   しかし今年3月~6月、起亜とその親会社である現代(ヒュンダイ)自動車の中国における販売量は61%減となった。前出の官僚によれば、起亜の工場は現在、わずか3割の稼働率であるという。

   記事ではさらに、「打撃を受けているのは塩城のみならず、また現代自動車のみならず、これらの会社の中国の合弁パートナーであり、国有自動車製造企業である北京自動車と東風自動車もまた不利な影響を受けるだろう」と記している。

   前述の官僚によれば、地方政府はいまその他の地方の投資家を奨励することにより、韓国の塩城経済に対する影響を軽減させようとしているが、このように起亜と共に発展してきた都市がそのようなバランスを取り戻すのには、長い時間が必要であろう。

   孫楠氏によれば、新しい減税優遇策と低金利ローンをもってしても、起亜の販売量の巻き返しを図ることはできないでいる。「中国の韓国に対する強硬な立場が、いままさに国内にも損害をもたらしている」と彼は感じているという。

   また「起亜の現地の合弁企業の大半は中国のものである」と指摘し、「衝突は中国と韓国のどちらにもいい影響を与えない」と語った。

   直に影響を受けているのは韓国企業に勤務して韓国企業の誘致に力を出した地方自治体である。しかし、かれらの声は中国ではほとんど聞かない。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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