「応益負担」が原則、の指摘も
このほか、メキシコは旅行者税として24時間以上滞在する外国人から約2100円を徴収、米国はビザ免除国の国民に渡航認証申請料約1500円を課し、欧州主要国は航空旅客税などを徴収している。ちなみに、集めた資金の使途は、観光振興のほか、フランスが空港整備、英国は一般財源とするなど、バラつきがある。
だが、出国税の実現には課題が多い。すでに日本の主要空港の国際線では、空港使用料の形で大人1人1000~3000円程度を徴収しており、出国税を新たに課せば『二重取り』の批判は避けられない。日本観光の料金がアップし、訪日客の増勢に水を差す懸念がある。日本人から徴収することには、訪日客を増やすという目的に合わないだけに、日本人にはメリットを感じにくく、反発を招く恐れが強い。
旅行関連業界からは「訪日観光に冷や水を浴びせる」などと反発の声が上がる。中国系メディアでは在日観光ガイドの「日本への旅行に対する外国人観光客の意欲が大きく下がりかねない」といった声が紹介されている。他方、法律の専門家からは「本来、旅行客の増加でメリットを受ける関連業界に税などを課す『応益負担』が原則で、取りやすいところから取るのは安直に過ぎる」(ある弁護士)との指摘も出ている。
具体的な議論は観光庁の検討会が舞台になるが、年末の2018年度税制改正大綱策定に間に合うか、見通しは全く立っていない。