ベンチャー企業である「Next Technology」(福岡県北九州市)の作った、においを判定して臭すぎると倒れる犬型のロボットがネット上で話題になっている。
いったい、何のためにこのロボットは作られたのだろうか。製作の背景などについて、J-CASTニュース編集部が取材した。
「目の前で倒れるのは少し傷つくのではw」「誰が買うんだろう」
「Next Technology」は北九州工業高等専門学校の研究室から設立されたベンチャー企業で、2012年10月5日に設立。もともと研究室では、画像の処理技術の研究などを行っていた。社員数は3名(17年9月現在)で、企業から試作品の依頼を受け、開発を行っている。具体的には、口臭の測定を行うロボットや、ドローンを用いた空撮の技術を開発するなどしている。
今回話題になっているのは、臭いを判定して反応する犬型のロボット「はなちゃん」だ。無臭・弱い臭いを嗅がせるとすり寄り、中程度の臭いであれば吠える。強い臭いと判定すると、倒れて気絶する。臭いの基準として、吠えるレベルは「1日中履いた靴下の臭い」、気絶するレベルは「2日間履いた靴下の臭い」を想定しているという。
体長は15センチほど。値段は10数万円を想定しているといい、来春に消臭機能をつけた上で販売予定だという。においを確認し、身だしなみのチェックに役立つロボットとして活躍が期待される。
13年にも「しゅんたろう」という臭いの計測を行う犬型ロボットを開発しており、機能としてはほとんど変わりがない。もともと大型だった「しゅんたろう」を小型化し、臭いに対する反応を分かりやすくするために反応を4つから3つにした「はなちゃん」が16年11月に完成した。
同社は、17年9月7日に北九州市の北橋健治市長を表敬訪問した。はなちゃんが市長の足の臭いを嗅ぎ、倒れることなくすり寄っている様子などがテレビなどで取り上げられた。
「足が臭い」と言われたお父さんの声から生まれた
ネット上では、「可愛い」、「目の前で倒れるのは少し傷つくのではw」といった声があるが、一部には「誰が買うんだろう」と、実用性に疑問を呈す声も見られる。
「はなちゃん」は、いったいどんな経緯で開発に至ったのだろうか。「はなちゃん」の開発に携わった、同社担当者の辻貴美花さんに、J-CASTニュース編集部が2017年9月13日に取材したところ、
「あるお父さんが家で足が臭いと言われてショックを受け、くさいというものを面白く、可愛く伝えてくれるツールが欲しいという依頼があり、開発しました」
という。数値で伝えることには心理的なショックが大きいとのことから、犬のリアクションで臭いを判定するようにしたという。ターゲットとしては自分でも気づけない生活臭に悩む女性を想定している。
ただ、あくまで「はなちゃん」は、臭いの強さのみを測定しているため、「悪臭だろうがいい臭いだろうが、臭いが強ければ問答無用で犬が卒倒」するという。これについては今後、種類を分けて嗅ぎ分けることも検討していきたいと述べた。
将来、「はなちゃん」の技術をどのような方向に応用するのかについては、
「においセンサの技術を用いて、においの掃除に応用していきたいと考えております。例えば、ルンバの上に消臭機能があるものを乗せて、においが強いと感じる空間を消臭してお掃除するイメージです」
と語った。