米疾病対策予防センター(CDC)が2017年9月11日、ペットショップチェーン「Petland(ペットランド)」を通じて販売された子犬を介して、人へのカンピロバクター感染が大流行しているとする警告を発表した。
11日時点でフロリダ州11件、カンザス州5件、ミズーリ州1件、オハイオ州18件、ペンシルバニア州2件、テネシー州1件、ウィスコンシン州1件を含む合計39人の感染が確認されているという。
犬や猫から感染することもある
カンピロバクターは家畜や家禽の腸内に生息する細菌だ。食中毒の原因としてよく知られており、鶏肉や内臓、肉類の生食によって感染した例はしばしば報道されている。
主な症状は胃腸炎で、下痢、腹痛、発熱、おう吐など他の細菌による食中毒症状と似たものが多い。
カンピロバクターはペットも感染源のひとつ。感染したペットの糞などに触れることで人も感染することがあり、厚生労働省が発表している「動物由来感染症(ズーノーシス)ガイドブック」内でも、ペットの犬や猫から感染する可能性がある病気に挙げられている。
今回の米国の事例では、患者39人中12人がペットランドの従業員、27人がペットランドの店舗を訪れたか子犬を購入した、ペットランドで購入した子犬が飼育されている家を訪れた人たちとなっており、感染源がペットランドの子犬であったことは明白だ。
ただし、CDCによると同店舗チェーンでカンピロバクターが繁殖しやすいような問題は確認されていない。
同社の広報担当者もサイト上で「ペットランドの各店舗には専用の衛生管理ステーションがあり、獣医師に相談して厳格な衛生手順を義務付けている」との声明を発表。現在はCDCと米農務省が共同で調査にあたっているようだ。
日本ではペットショップを通じてカンピロバクターが流行したという事例は報告されていないが、ネット上の質問サイトや掲示板などでは、「購入したペットが下痢をしており、獣医に行ったところカンピロバクターに感染していると言われた」という声がいくつか挙がっていた。
流行とまではいかないものの、ペットショップ経由でカンピロバクターに感染した人が存在する可能性はある。
ペットに触った後は手洗いの徹底を
CDCはペットを介した感染を避けるため、ペットや糞、ペットの餌に触れたあとは、徹底的に手を洗うことを推奨している。子どもはペットと一緒に遊びたがる傾向があるため、保護者が注意深く観察し入念に手を洗うよう呼びかけている。
ペットが感染した場合に注意すればよいと考えるかもしれないが、犬や猫は無症状であることも多く、下痢や嘔吐といった症状が目安にならないという。
また、飼い主のマナーとして室内・屋外を問わず子どもが遊ぶ場所ではペットがお尻をつけないよう持ち上げることが望ましいともコメントしていた。
カンピロバクターは乾燥に弱く室内ではあまり長く生存できない反面、低温で湿気の多い環境を好むため冷蔵庫内では繁殖しやすい。過度にペットを心配する必要はないかもしれないが、万が一に備えて手洗いはしっかりしておきたい。