シャープは2017年8月31日、高精細の8Kに対応した液晶テレビを世界で初めて発売すると発表した。今年は「有機ELテレビ元年」と言われるが、技術的に他メーカーに先行する8K液晶パネルで勝負する。液晶テレビを含めた8K製品はシャープの成長戦略の中核。消費者に受け入れられるのか、注目される。
「AQUOS(アクオス)」シリーズの最上位モデルと位置づける新製品は、現行のデジタル放送(地上・BS・110度CS)の規格であるフルハイビジョンが(2K)の16倍、現在の最先端である4Kの4倍という高解像度が特徴。現行放送や4K映像については、8Kの高解像度にアップコンバートして表示できる。2018年12月に開始予定の8K実用放送を視聴するには、別に販売されるチューナーとの接続が必要だ。
有機ELの現状との関係
サイズは70インチ。当初は月産200台で、12月1日に発売する。価格は税別で100万円前後と、同じサイズの4K液晶と比べ2倍近い設定だ。
海外販売にも力を入れる。中国で10月に先行販売するほか、2018年2月から台湾、3月に欧州で「8K映像モニター」を売り出す。8Kエコシステム戦略推進室の西山博一室長は記者会見で「米国での8K展開も考えている」と述べた。
シャープは他社に先駆けて、8Kの研究開発に取り組んできた。日本では2015年10月に8K液晶パネルを採用した「85型8K映像モニター」を皮切りに、16年には8K放送の受信が可能なチューナーを開発、17年6月には70型の8K映像モニターを発売した。今回はいよいよチューナーを内蔵したテレビという形で世に送り出す。20年には60型以上のテレビの半数を8Kにしたい考えだ。
シャープが8K液晶テレビに力を入れるのは、独自開発する有機ELパネルが実用段階にはないことの裏返しでもある。有機ELは韓国勢が圧倒的にリードしている。今年はソニー、パナソニック、東芝など国内メーカーが相次いで大型有機ELテレビを発売したが、パネルはすべて韓国LG電子製。シャープもLGからパネルを調達して自社ブランドで売ることは理屈上可能だが、そうすればこれまでの研究開発が無駄になってしまいかねない。