高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
解散風のウラに消費増税めぐる攻防? 改憲や「民進の体たらく」も相まって...

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「実際に今解散する可能性は低い」

   このダブル選挙では、2019年10月に予定されている10%への消費増税の是非も当然ながら、総選挙の焦点になるからだ。安倍政権でなければ、法律通りといって争点にならないだろうが、なにしろ14年12月の総選挙では、15年9月に予定されていた消費増税について、増税しないとして大勝した前例が安倍政権にはあるのだ。安倍政権は、憲法改正、消費増税凍結で、国民投票と総選挙のダブルを仕掛けてくる可能性があるので、財務省はおそれているわけだ。

   そこで、財務省のとった対応とは、今解散すべきと国会議員に説いているという噂が出ている。財務省の政界工作は巧妙なので、その真偽はわからないが、たしかに、急に解散という話が出ている。

   それをもっともらしくする話として、民進党の体たらくがある。前原民進党は、山尾問題でガタガタである。加計学園問題での勢いはどこにいったのか。それに、各種調査で、内閣支持率も若干回復した。

   政治には常に流言飛語が飛び交っている。今、衆院を解散すれば、ふたたび3分の2の改憲勢力は可能という甘いささやきもあるが、冷静にみれば、今の時点で解散すれば、過去の政権支持率や自民党支持率から推計すれば、せいぜい250~60議席にとどまる(衆議院サイトによると、自民党・無所属の会<会派略称「自民」>の所属議員数は「288」<8月23日現在>)。

   解散風は適度であれば、議員の緊張感を維持するためには好都合なので、安倍政権としても適当に解散風は賛成だろうが、実際に今解散する可能性は低いと筆者はみている。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「日本を救う最強の経済論」(扶桑社)など。


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