【おはよう日本 かかりつけ薬剤師活用術】(NHK)2017年9月12日放送
今やコンビニの数よりも多い調剤薬局。その数何と5万7000軒! ところでアナタはどこで医師から処方された薬をもらっているだろうか。病院の近くでという人が多いが、「かかりつけ薬剤師」からもらうと便利だ。
「かかりつけのお医者さん」ならぬ「かかりつけ薬剤師」という制度を知らないアナタ。身近な薬局を大いに活用してはいかが。
番組アナの多すぎる薬が5分で半分に
番組リポーターの森田洋平アナがこう説明する。
森田アナ「かかりつけ薬剤師の制度は、去年(2016年)4月から国が新たに始めた制度です。大きな目的は医療費の削減です。担当の薬剤師を1人に決めると、複数の病院から処方される薬の重複を防ぎ、薬を適正に管理することができます。また私たち一人一人の健康管理のために薬剤師の力を発揮してもらおうというねらいもあります」
具体的にどんなことをするのか、東京都渋谷区にある調剤薬局を訪ね、かかりつけ薬剤師の矢野文恵さんに聞いた。
矢野さん「患者さんに対し、さまざまな薬を私が責任を持って管理します。通常、病院で処方箋をもらうと、その近くの薬局で薬を出してもらうことが多いですが、同じ薬剤師が薬を出すと、同じ効能の薬が重複して処方されることを防ぐことができます。病院と薬局が離れている場合でも、処方箋をファックスすれば用意できますし、携帯で処方箋を撮影して送っても対応します」
森田アナは早速相談した。仕事中に具合が悪くなった場合に備え、いつもポーチに10数種類の薬を持ち歩いている。解熱剤だけでも5種類。矢野さんは「これとこれは同じ効能です」とテキパキと整理し、ものの5分で薬を半分以下に減らした。森田アナはそれまで薬を飲みすぎていたわけだ。
かかりつけ薬剤師は健康相談にも乗る。かかりつけ薬剤師になってもらうには合意書を交わす。相談料は、3割負担の保険に入っている人の場合、1回につき60円から100円。そして何と、時間外でも相談できる。
矢野さん「私の場合、夜中に熱が出た時にどの薬を飲めばいいかなど、24時間対応します」
自宅にまで薬を届け、健康相談と病院紹介
かかりつけ薬剤師のメリットは他にもある。森田アナは東京・浅草で薬局を営む宮原富士子さんを訪ねた。かかりつけ薬剤師として地域に住む約150人の薬や健康を管理している。宮原さんはこの日、近くのマンションに住む車いす生活の女性に医師から処方された薬を届けに行った。在宅医療を支えるのもかかりつけ薬剤師の役割だ。薬を届けたついでに体調を聞き出し相談に乗る。
女性「いつも私の健康状態を把握してくれているのは心強いですよ。具合が悪くなった時、どの病院に行けばいいか迷いますが、そんな時こそ宮原さんが、病院に行くべきかどうか、行くならどの病院がいいのか教えてくれます」
別の女性が宮原さんの薬局を訪れ、ほてりなどの体の不調を訴えた。宮原さんはホルモンバランスの乱れによるものではないかと疑い、更年期外来のある病院を紹介した。
MCの和久田麻由子アナ「私も持ってみたい気になりましたが、これまでの普通の薬剤師と、かかりつけ薬剤師はどこが違うのですか?」
森田アナ「いくつか条件があります。薬剤師としての経験が3年以上あり、同じ薬局に半年以上、週32時間以上勤務している人。さらに日本薬剤士研修センターが行なうコミュニケーションの特別研修を受講するなどの条件があり、全部クリアした人が『かかりつけ薬剤師』の認定を受け、患者と契約を結ぶことができます」
現在、全国の調剤薬局で導入が進み、大手ドラッグストアチェーンでも置く所が出てきている。地域の薬剤師会に問い合わせると、どの薬局にいるか教えてくれる。