北朝鮮を訪問し帰国したアントニオ猪木参院議員(74)が2017年9月13日、日本外国特派員協会で記者会見し、自民党内で対話に向けて「空気が変わりつつある」などと持論を展開した。
具体的には、自民党内に訪朝の意向を猪木氏に伝えた人がいるといい、猪木氏は超党派で訪朝団を結成したい考え。北朝鮮側にもその意向を伝えたというが、肝心の自民党内の賛同者の数などは明らかにしなかった。日本政府は対北朝鮮制裁の一環として北朝鮮への渡航を自粛するように要請しており、実現可能性には疑問符がつきそうだ。
帰国直後から一転、会談内容は明らかにせず
猪木氏は9月9日の建国記念日に合わせて、7日から11日にかけて訪朝。現地滞在中、李洙墉(リ・スヨン)朝鮮労働党副委員長、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長、朴永植(パク・ヨンシク)人民武力相らと会談したことを明かした。
猪木氏は9月11日の帰国直後の会見では、北朝鮮側が核実験について
「米国と国際社会が圧力を加える限り、我々は実験を続け、よりレベルの高いものにしていく」
と主張していたことを明かしていたが、今回の会見では一転、
「そういう(原理原則の)話を抜きにして本音の話をしましょうよということで、向こうの方たちの会談をしている」
などと具体的な会話の内容について言及を避けた。猪木氏は11日の会見で、自民党内に訪朝を希望している人がいることも明らかにしていた。今回の会見では、猪木氏は
「政権与党という自民党での決定が一番大きい。その中で空気が変わりつつある。今までは制裁一辺倒だったものが、対話も必要だ、と」
「自民党の中で色々対話をしたいという考え方を持つ人がおり、そういう仲間が増えてきた。風が変わってきた。表と裏が政治にはある。皆さんが願っていることは、戦争はとんでもない(ということ)」
などと述べ、訪朝団結成に前向きな姿勢を示した。
訪朝希望者の人数は明らかにせず
北朝鮮側は猪木氏の提案に対して
「訪朝団に関しては、我々は了承しました」
と述べたというが、自民党内でどの程度の人数が訪朝を希望しているかについては、
「私の場合はこういうキャラクターですから、別にどこから叩かれようが何を言われようが問題ないが、例えば名前を出してしまうと、そういう政界の中でのアレもあると思うので、ちょっとそこは差し控えさせてもらいたい」
と述べるにとどめた。