電動アシスト付きベビーカーは「車道へ出ろ」? 誤解が猛拡散、経産省担当者も困惑

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   電動アシスト付「ベビーカー」は軽車両に当たるため車道で使うように――そんな発表を経済産業省が行ったとして「子供を危険に晒せと?」「融通の効かないアホ官僚」などと経産省批判でネット上が騒然となった。

   これを複数のネットニュースや自動車評論家が記事にしたため騒動はヒートアップしたが、実はこれは誤解だった。記事にしたネットニュースは修正に追われているが、どうしてこんな情報が広がったのか。

  • 車道で押さなければならない?(写真はイメージ)
    車道で押さなければならない?(写真はイメージ)
  • 車道で押さなければならない?(写真はイメージ)

「赤ちゃんに道路を走らせる日本という酷い国」

   事の起こりは経産省が2017年9月7日に出したプレスリリースだった。見出しは、

「電動アシスト付ベビーカーに関する道路交通法及び道路運送車両法の取扱いが明確になりました」

となっている。内容は、「グレーゾーン解消制度」に基づき電動アシスト付6人乗りのベビーカーについて確認を求める照会があり、道路交通法及び道路運送車両法上の取扱いについて検討した結果、「小児用の車」ではなく「軽車両」に該当する、と書いている。

   このリリースは、全ての電動アシスト付「ベビーカー」が軽車両にあたるため、車道で使わなければならなくなった、という形で広まり、複数のネットニュースや自動車評論家が記事にし「Yahoo!ニュース」にも掲載された。ネット上では激しい騒動になり、

「こんなもん車道に出たら皆ひかれて7人ともあの世行きじゃないか?経産省も惨いことをするね」
「融通の効かないアホ官僚の典型ですな」
「赤ちゃんに道路を走らせる日本という酷い国」

などといったことが掲示板に書き込まれた。

   ちなみに「グレーゾーン解消制度」というのは、事業者が新規事業を始める際に規制に抵触するかどうかを国に照会できるというもので、14年1月に産業競争力強化法に基づいて創設された。経産省が窓口になり案件に関わる省庁が事業化が可能かどうかの検討を行い、どんな小さな案件であっても回答は必ずプレスリリースにして公表している。

一般的な電動アシスト付きは歩行者とみなしている

   J-CASTニュースが9月13日に経産省に取材したところ、7日のプレスリリースは電動アシスト付き「ベビーカー」についての「グレーゾーン解消制度」第二弾で、第一弾は15年1月に「小児用の車」とみなされるかどうかの照会があったため検討し、「歩行者とみなされる」と判断し歩道で使用可能だ、という回答内容だった。ただし、車体の長さ120センチメートル、幅70センチメートル、高さ109センチメートル、時速6キロメートルをそれぞれ超えない、などの制限が表示された。

   これは日本で一般的に使用されている1、2人乗りの想定で、第二弾の案件は事業者が海外から輸入する計画を立てていた6人乗りだった。車両の寸法や、使用方法から「人力車」として「軽車両」にあたると判断し、車道もしくは路側帯での使用になると判断されたのだという。電動アシスト付きベビーカー全体ではなく、あくまで問い合わせのあった、特定の商品に関しての見解だ。むしろ電動アシスト付きベビーカーについては、15年のリリースで、

「これにより、電動アシストベビーカーを広く商品展開することが可能となり、育児用品市場の活性化及び育児層の負担軽減に資することが期待されます」

と普及に期待するコメントも付けたほどだ。

   正しい情報が広がる中で、ニュースサイト「レスポンス」など記事の内容を修正するところも出ている。経産省の担当者は今回の騒動について、

「表記が分かりにくかったのかな、という反省もありますが、『グレーゾーン解消制度』と大きく書いていて、『照会のあった』『当該電動アシスト付ベビーカー』と『当該』の文字を何度も使っておりますので、これほどまで話題になるとは思いもしませんでした」

と困惑していた。

姉妹サイト