大相撲秋場所の幕内では、初日から3人の横綱を含む5人が休場、3日目からはさらに2人がけがで途中休場となった。
最近の相撲人気を支える多くの人気力士たちの姿がない本場所の土俵は、なんとも寂しい。専門家が指摘するのは、稽古の質と体重の増加だ。
インナーマッスルを鍛える四股が減った?
白鵬は左膝痛、鶴竜は右足負傷、稀勢の里は左胸や左足首のけが――。日馬富士を除く3横綱はいずれも、こうした理由で秋場所を初日から休んでいる。先場所優勝争いに絡んだ平幕の碧山も、膝の痛みで休場となった。さらに大関の高安と、多彩な技で人気の平幕・宇良は2日目の取組の際に負傷して3日目から休場だ。高安は右太ももの筋肉の部分断裂、宇良は先場所中に痛めた右膝痛を悪化させた。
激しくぶつかり合う力士にとって、けがは宿命かもしれない。それにしても、3日目で既に幕内だけでも7人が休場し、うち6人がけがのためだ。何が起きているのか。
2017年9月12日付の朝日新聞デジタル記事は、相撲の基本動作のひとつ「四股」に注目した。土の上で踏む四股が減っているのがけがの要因だとみる。最近は相撲部屋の土俵以外では土の上で四股が踏めない。硬い床の上でたくさん踏むと膝に負担がかかる。そのため体づくりを筋力トレーニングに頼る傾向にあるとの指摘だ。
四股の効果については、複数の整骨院のウェブサイトで説明がある。例えば「あさひ接骨院・鍼灸院」のサイトには、「最も優れた体幹トレーニングだそうです」として、正しい四股の踏み方を解説。また「元横山整骨院」のサイトでは、四股と同じ相撲の基本動作「股割り」と合わせて、「股関節の柔軟性を向上するとともに股関節のインナーマッスルを効率よく鍛えることが出来ます」としている。
日本相撲協会では、相撲の基本動作を手本とした「相撲健康体操」を考案し、一般向けの普及に努めている。もちろん、四股も体操の一部だ。「股関節、足腰の強化になります。全身の重心を安定させる、足腰の基礎運動。冷え症にも有効」との説明がある。
力士にとって、足腰の強さと柔軟性は生命線。もし四股が減っているとしたら、けがが増えるのは納得できる。