若者ボランティアが支援続ける
杷木小学校グラウンドにある木造の仮設住宅に足を運んだ。記者は東日本大震災や熊本地震の被災者向けに建てられたプレハブの仮設住宅も取材したが、それと比べると住環境はよさそうだ。息子と一緒に住んでいるという高齢の女性を訪ねると、家の中に招き入れてくれ、「仮設に入れてよかった」とホッとした表情を見せた。避難所で45日間を過ごした後、入居したという。避難所と違ってプライバシーが保てる。近所は同じ地区から避難してきた顔見知りが多い。
大水害に見舞われた朝倉市民は、穏やかな日常生活を取り戻すため今も懸命だ。被災した家々や農地では、若者を中心にボランティアが活動を続けている。記者が取材中に出会ったNPO法人「日本九援隊」には、北九州市や神戸市、大阪府から駆けつけてきた人々の顔があった。一方で、まだまだ十分な支援がいきわたっていない地域があるのも事実だ。夏休みが既に終わり、ボランティアの安定的な人数確保は今後課題になるだろう。
赤谷川と筑後川が合流する地点では9月3日、警察と消防、地元消防団合同による行方不明者の捜索が行われた。規模は縮小しているが、今も継続していることが「終わっていない災害」を物語る。放置されたままの山の崩落箇所は数え切れず、再び台風や豪雨に襲われたらどうなるのか、不安をかきたてられた。
水害は日本全国どこでも起こり得る。そして、その頻度は年々増している印象だ。決して人ごとではいられない。(おわり)