ほどほどの酒は集中力を弱めて視野を広げる
テストの結果は、ビールを飲んだ組は、シラフ組に比べ、実務能力の成績はやや悪かった。総合的な思考力はほとんど変わらなかった。創造力のテストが非常によく、100ポイントのスコア中、12ポイント近く上回った。ほどほどのアルコールに、いいアイデアをモリモリわかせる効果があることが確認された。
今回の結果について、ピーターセン博士は論文要旨の中でこう語っている。
「ほんの少しのアルコールでも実務能力が失われることは、予想通りの結果でした。しかし、3番目の総合的な思考力に影響を与えなかったのは意外です。何より、創造力のアップが素晴らしい成果でした。私たちが皆知っているように、認知能力のピークとアルコールは一緒になりません。酔いが回ると集中力が落ちるからです。その代わり、集中力を緩めると、それまで1点に集中して狭くなっていた視野が広がり、意識の下にあった思わぬ発想が浮かんでくるのです。アルコールは、1点集中型の思考プロセスでは思いつかないアイデアを生み出す際には有効と言えるでしょう」
ただし、せっかく生み出したアイデアを評価し実行するためには、実務能力と総合的思考能力が必要だ。これらの能力は飲みすぎると一気に低下するから飲みすぎは逆効果と、ピーターセン博士は釘を刺している。