「宇良が休んだら俺も休もうかと」――。大相撲秋場所の初日、北の富士勝昭氏が冗談のつもりで述べたであろうこの言葉に、インターネット上で心配の声が相次いだ。
今場所は場所前から3横綱の休場が決まっていただけでなく、ケガ人が続出する異常事態。2日目の取り組み後に脚を痛め、車いすで退場したのがその宇良で、ツイッターでは「宇良が欠場すると、北の富士さんも解説欠場してしまうではないか」と初日の言葉がフラッシュバックされている。
車いすに乗せられて苦悶の表情
前頭4枚目の宇良は2017年9月11日の秋場所2日目、貴景勝に突き倒されて黒星。土俵際で踏ん張った際、先場所に痛めていた右膝に負荷がかかったのか、崩れるように土俵下へ転げ落ちた。一人で歩けず、肩を借りながら退場しようとしたが、最後は車いすに乗せられて苦悶の表情を浮かべながら下がっていった。
さらに、優勝の期待がかかる大関・高安にもアクシデントが発生した。小結・玉鷲との取り組みで、押し出しで敗れると、右足を引きずりながら土俵をおりた。こちらも車いすで運ばれ、右太ももの内側を手で押さえていた。NHKのリポートによると、「ブチッといった」と話していたといい、重傷のおそれがある。また、相手の玉鷲も押し倒しの際に右足首をひねり、よろめきながら土俵をあとにした。
今場所はただでさえ白鵬、鶴竜、稀勢の里の3横綱が休場し、初日から豪栄道と照ノ富士の2大関に土がつく幕開けとなっていた。これで上位の人気力士である高安や宇良らがもし休場となれば、盛り上がりの更なる低下は免れない。
「いやいやいやいや、それはダメです」
そこで思い起こされたのが、初日のNHK中継で解説をつとめた北の富士氏の言葉。3横綱休場と、宇良の右膝の状態に絡め、実況の三瓶宏志アナウンサーが「宇良が出るか出ないかではまったく盛り上がりが違うでしょう」と話しを振ると、北の富士氏は
「そうですよ。これで宇良が休んだら俺も休もうと思ってた」
と即答。三瓶アナは苦笑いしながら「いやいやいやいや、それはダメです。それはダメですよ。それは困ります」と返すのみだった。
これが2日目の宇良負傷で一気に現実味を帯びた。ツイッター上では
「北の富士さんマジで休みかねないぞ」
「北の富士休場も待ったなしかこれ」
「宇良が休場すると北の富士さんまで休んじゃいそうだから心配」
「宇良くんが心配・・北の富士さんも休んでしまうじゃないか!これ以上土俵が寂しくなってしまう・・」
と続々と心配の声があがることになった。
なお北の富士氏は17年初場所、心臓手術後の療養のため、予定していたNHK解説を実際にすべて休んでいた。