減量は誰でもできるがん対策
今回の研究が示す結果はいくつかある。まず、肥満はやはりがんリスクを上昇させる要因だったということ。ただし、単に太っていることががんリスクの上昇を示すわけではなく、BMIや体重を指標とするのは不適切かもしれないという点だ。
研究結果が正しければたとえ太っていても、内臓脂肪ではなく皮下脂肪が多ければがんリスクは上昇しない。単純な重さではリスクの多寡を評価できず、脂肪の種類を調査しなければいけないことになる。
研究者らはFGF2の作用を止めることができればがん治療も行えるのではないかと考え、FGF2やその受容体を阻害する化合物の研究を検討していることも明らかにしている。
もちろん、研究の限界もある。FGF2ががん化を進めていることは確かだが、内臓脂肪はFGF2以外にもさまざまなホルモンや成長因子も分泌している。よりがんリスクを高めている物質が存在している可能性は否定できない。
そもそも研究自体が動物実験を元にしており、サンプルで確認したとはいえ人でも同じことが起きているかどうかは不明だ。
内臓脂肪がすべての答えというわけではないが、禁煙と同じように適正体重を維持するという手軽な方法でがんリスクを抑えられるのであれば、減量に取り組まない理由はないだろう。