シャンプーとリンスを区別するための側面にあるきざみは、花王が作ったものだとするまとめサイトの議論に注目が集まっている。
花王はアイデアを製品化しただけでなく、他社製品にも広めるべく権利を開放、この取り組みを好意的に評価する声が上がっている。
消費者の声から「きざみ入り容器」の開発に着手
「シャンプーのボトルのギザギザが普及した理由は、最初に考案した花王さんの素晴らしい対応にあった」という2017年9月1日のツイッターに始まり、Togetterまとめでは、この話題で4日現在、閲覧数は24000を超えている。
花王の公式ホームページによると、「洗髪時に目をつむっていても区別がつくようにしてほしい」「目が不自由なので容器に工夫をしてほしい」といった消費者からの要望があったようで、1989年から容器の研究をスタートさせたという。
洗髪時や障害で見えない状態でも、シャンプーだと「触ってわかる」ように研究を続けた結果、側面にきざみの入った容器を開発。1991年10月にきざみの入った初めてのシャンプー、「Essential」を発売した。
その後、同社は申請していた実用新案を取り下げ、業界で「シャンプーにきざみをつけること」を通じ、各社に呼びかけるようになった。
これには業界内で基準がバラバラになることへの混乱を防ぐ狙いがあったようで、現在ではほとんどのシャンプーに「きざみ」がつくようになった、としている。
花王以外では、ライオン、P&G、資生堂、などでもきざみはついている。
ネット上ではこの取り組みについて、
「企業の利益より消費者の利便性を優先した姿勢は素晴らしいと思う」
「ラベル剥がしてもわかるから有難い」
と、そろって好意的な評価を寄せている。一部、特許や実用新案を取っていないことに疑問の声も上がっている。
「多くの方にきざみを知って便利に感じていただけると嬉しいです」
今回話題になっていることについて、花王はどう見ているのか。2017年9月4日にJ-CASTニュース編集部の記者が同社のUD(ユニバーサルデザイン)推進室担当者に取材したところ、「シャンプーのきざみ」の発祥は花王であるとしたうえで、
「シャンプーにきざみがついている事をまだご存じない方も多くいらっしゃいます。話題になることで、多くの方にきざみを知って便利に感じていただけると嬉しいです」
と述べている。実用新案の申請を取り下げたことについては、
「弊社が独占するのではなく業界全体で共有すべきという見方から、実用新案の申請を取り下げました。業界全体に働きかけましたので、他社が改めて申請することはなかったと思われます」
としている。
シャンプー側面のきざみは、2011年にISOの国際規格として採用されている。
ただ、同担当者によると世界では日本ほど浸透していないとのことで、今後は世界へ広がりを持たせていければ、と話していた。