日本ではあまり聞かれないが欧米で子育て中の悩みとしてよく挙げられるのが、乳児を両親と同じ部屋で寝かせるべきか、別の部屋で寝かせるべきかという問題だ。
米小児科学会は乳児の睡眠ガイドラインを設けており、「6か月未満の乳児は乳幼児突然死症候群(SIDS)リスクを低下させるために両親と同じ部屋で眠ることが推奨される」としているが、6か月以上になるとどうすべきか提示されていない。
子ども健康のためにはどうするのが良いのか、米国の研究者らが検証を行った結果が2017年8月12日に発表されている。
早寝早起きでしかも熟睡
調査に取り組んだのは米ペンシルベニア州セント・ジョゼフズ大学とフィラデルフィア小児病院、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の共同研究チームだ。
研究チームはまず乳児の睡眠状態を記録するスマートフォンアプリ「Johnson's Bedtime Baby Sleep」を開発。アプリ内に医療現場で用いられる睡眠評価の指標「Brief Infant Sleep Questionnaire」をアンケートとして組み込んだ。
アプリは無償で欧米を中心に提供され、米、英、豪、ブラジル、カナダ、ニュージーランドに住む6~12か月までの乳児1万34人分のデータを収集し、乳児の睡眠場所と睡眠時間、睡眠状況の関係を分析した。
データ解析の結果わかったのは、別室で寝ている乳児ほど早寝早起きで、夜間に目を覚ますことがないという傾向だ。
両親と同じ部屋で寝ている場合、平均入眠時間は20時43~52分だったが、別室の場合は20時8分に。また、同室の乳児が夜中の2時頃に目を覚ましてしまい、夜間睡眠時間が5~6時間となっていたのに対し、別室の乳児はほとんど目を覚ますことがなく、夜間睡眠時間も10時間近くとなっている。
しっかりと一貫して眠り続けているため、別室の乳児は同室の乳児よりも目を覚ます時間が早い傾向にもあったようだ。
両親と同じ部屋でもベビーベッドなど異なるベッドで寝ている場合と、両親のベッドで寝ている場合では、後者の睡眠状態が悪いことも確認されている。
こうした結果から、研究チームは「両親と別室で眠る乳児は(途中で目を覚まさず)連続して安定した睡眠時間を確保でき、早寝早起きという健康的な睡眠習慣を得ることができる」と結論づけている。
日本と欧米では住宅事情も異なるため、赤ちゃんのために別室を用意するというのは難しいかもしれないが、夜中に頻繁に目を覚ましてしまうのが気になるのなら試してみる価値はあるかもしれない。