いま大学生の間で、語尾に「ンゴ」をつけることが流行している――。2017年9月6日放送の情報番組「スッキリ!!」(日テレ系)で、こんな内容の特集が放送され、インターネット上が騒然としている。
「○○ンゴ」とは、ネット掲示板「2ちゃんねる」で生まれたネットスラング。それだけに、今回の特集についてネット上では、「マジで流行ってんのか」「恥ずかしいンゴねぇ...」といった驚きや戸惑いの声がネット上に相次いでいるのだ。
「写真撮るンゴ」「ママンゴ」
この日の「スッキリ!!」では、「大学生の間でブーム!語尾に『ンゴ』」と題した特集が放送された。東京・渋谷の大学生に街頭でインタビューし、流行の実態を調査する......といった内容だ。
番組ではまず、茶髪にサングラス、両耳にピアスを開けた男子大学生のコメントを紹介した。この男性は、「ンゴ」について「めっちゃ使っちゃいますね。朝起きたンゴとか、東京来たンゴとか」と説明。続けて話を聞いた女子大生は、
「写真撮るンゴとか行くンゴとか、お風呂入るンゴとか...。いつでも使います」
と笑顔を浮かべて話す。また、女子大生3人組は、番組スタッフの「会話の中で『ンゴ』は日常茶飯事?」という質問に対し、
「使うンゴ」「使うンゴ」「使うンゴ」
と3人で大笑いしながら回答。そのほか、母親のことを「ママンゴ」と呼んでしまうという女子大生もいた。
なぜ、「ンゴ」を多用するのか。その理由について、番組のインタビューに答えた女子大生は、
「出てくるんだよね、勝手に。無意識に言っちゃう。それが口癖みたいになっちゃってて...」
と説明。別の男子大学生は、「ダサいです。そのダサさが好き」と話していた。
こうしたインタビューに基づき、番組では「ンゴ」という言葉がどのように大学生に使われているかについて、「少しダサいけど、テンションが上がる時に使う」とテロップで説明していた。
「ンゴ」の由来は...
そもそも、「ンゴ」という言葉は2ちゃんねるの野球実況版「野球ch」で2008年に生まれた言葉だ。
当時、楽天に所属していたドミンゴ・グスマン投手が、ソフトバンクとの開幕カードで2回のサヨナラ負けを喫した。これが「野球ch」住民の間でネタにされ、投手が打ち込まれた際に「○○(=投手の名前)ンゴwww」などと揶揄する意味で使われるようになった。
その後、「野球ch」にいた実況ユーザーの多くが掲示板の自治トラブルで「なんでも実況J(なんJ)」という掲示板に移住。その後も、同じユーザーらが「ンゴ」という言葉を使い続けたことから、今では掲示板の名前を取って「なんJ語」と呼ばれることもある。
現在は、当初よりは広い意味で使われることも多いようで、
「遅刻したンゴ」
「隙を見せてしまったンゴ」
など、失態を犯した際や、思い通りにコトが進まない時に使用されるケースも増えている。
では、いま「ンゴ」を使っている大学生は、こうした「ネットスラング」としての意味を知っているのだろうか。今回の「スッキリ!!」の特集で、番組スタッフが大学生に尋ねると、
「特に意味はなく、ノリで」
「とりあえず付けておけば、いけるかなというノリ」
との回答だった。そのため番組では、大学生の「ンゴ」ブームについて、
「『ンゴ』という言葉が誕生して9年。最近、ネットなどで見た大学生が本来の意味を知らずに、語尾に『ンゴ』を付け始めたと言われています」
と説明していた。
ンゴは「大人の第一歩」?
ちなみに、番組が取材した限りでは、「ンゴ」を使っている高校生は発見できなかったという。これに対し、インタビューに応じた大学生たちは、
「大学に入ったら必ず使う。(『ンゴ』は)大人の第一歩」
「大人になったら分かります。『ンゴ』の良さがね」
などとコメントしていた。
実は、大学生の間で「ンゴ」がブームになっているとテレビ番組で取り上げられるのは、17年8月24日のバラエティー番組「櫻井・有吉THE夜会」(TBS系)に続きこれが二度目。そのため、今回の特集を受けて、ツイッターやネット掲示板には、
「ンゴが流行語になってるンゴwww」
「マジで『ンゴ』が流行ってるのか...なんJ民が最先端だった?」
「たしかに大学でもンゴっていってるやついたンゴ」
といった驚きの声が続々と寄せられた。そのほか、「『ンゴ』が流行語大賞取ったら授賞式にドミンゴ来るのかな」などと妄想を広げるユーザーも出ていた。
一方で、当の「なんJ民」の間では、ネットスラングを現実で使うことに反発する向きが強いようで、
「文字じゃなくて口に出してンゴは恥ずかしいわ」
「寒くて見てられないンゴ」
「黒歴史を掘り返されてるようなもどかしさを感じる」
などと困惑気味の意見が目立った。