電柱のある風景は美しい。ない風景もまた美しい
コンテストに「美しい」電柱風景の写真を複数投稿している「tokyopasserby」さんに、ツイッターのDMを通じて話を聞いた。
tokyopasserbyさんは、10年来の趣味として、電線・電柱のある風景を写真に収めてきた。「美醜、好き嫌いは別として、ヨーロッパの大都市にはない、アジアの混沌とした風景を特徴付けている」のが電柱、電線だと語る。
そんなtokyopasserbyさんも、通行や災害への障害になるから、という理由での無電柱化には反対ではないという。
「しかし、無電柱化キャンペーンはそこに美醜の問題を持ちこんでいる。今回、都知事は『醜い景色』とまで言っている。それは待ってくれ。電柱や電線のある風景を美しいと考えている者もいる。美醜に関する価値観の押し付けはお断りしたい」
「あなた方は美しくないという。しかし私たちは美しいと思う」――そんな主張を伝えるため、人々に電柱のある風景の「美しさ」を共感してもらうため、tokyopasserbyさんはコンテストに、自らの写真を投稿したという。
「電柱のある風景は美しいです。電柱のない風景もまた美しいです。それは人が何を見たいと思っているのかということの違いにしか過ぎません」
こうした思いを持つ人は、tokyopasserbyさんだけではない。応募写真を見ると、もちろん中には「本来の趣旨」のとおり、「やっぱり邪魔だよね、電柱電線...」「電柱がなければ綺麗な星空が見えたのになぁ」といった投稿もあるが、
「ただ電線がそこにあるそれだけなのに、こんなにも世界は美しい」
「電柱はいいぞ」
「電柱や電線のある空が好き」
など、愛あるコメントとともに、多くの「美しい」写真が並んでいる。