日本も直撃? NAFTA再交渉の懸念材料

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どうなる「為替条項」

   こうした米国主導の見直しに、日本は警戒を強めている。中でも打撃を受けそうなのが、メキシコで展開する自動車メーカーだ。メキシコ中部グアナファト州で2014年にホンダとマツダの工場が稼働。同国での生産台数はホンダ20万台、マツダ18万台(2015年)。半世紀前に進出した日産の生産台数は82万台に達し、中部のアグアスカリエンテス州を中心に事業を拡大中で、高級車を生産する独ダイムラーとの合弁工場を建設中。トヨタ自動車もグアナファト州で生産を始める計画だ。

   日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、メキシコ進出企業はこの4年で倍増、メキシコの政府系投資促進機関、プロメヒコは1月、日本企業のメキシコへの進出が1000社になったと発表した。NAFTA再交渉は、こうした動きに水を差す懸念があり、安倍政権も「自動車メーカーなど数多くの日本企業がメキシコやカナダに進出し、NAFTAを活用している」(世耕弘成・経済産業相=8月15日の記者会見)と、交渉の行方を注視している。

   為替条項も日本にとって懸念材料だ。米国は、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉でも為替条項の導入を主張したが、相場急変動時の為替介入などが制限されかねないことから、日本などが強く反対して見送られた。

   TPPを離脱したいま、米トランプ政権は個別に各国と自由貿易協定(FTA)を結ぶ方向を模索している。NAFTA再交渉は、その試金石と位置づけられており、日本とのFTA交渉ということになれば、米国が為替条項の新設を迫ってくる可能性がある。実際、トランプ大統領は1月末、「中国と日本は何年も通貨安誘導を繰り広げている」と言及したことがある。通商政策と為替をリンクさせる考えは、政権発足当初から、ということになる。

   北朝鮮情勢の緊迫化などで対米協調が必要なだけに、通商問題でどのように米国と対峙していくかは、日本にとって難しい課題。NAFTAの行方から、いよいよ目が離せない。

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