北朝鮮の建国記念日を2017年9月9日に控え、北朝鮮の「次の一手」に世界中の警戒の目が集まっている。16年の建国記念日は、北朝鮮は5回目の核実験を実施。17年9月3日に6回目の核実験を強行したばかりで、直後に行われた国際会議で、北朝鮮の大使は「米国は北朝鮮からさらに多くの『贈り物』を受け取ることになる」と挑発している。
韓国では、3回目の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射が強行され、アラスカに届きうる長距離を飛行する可能性や、7回目の核実験を行ったりする可能性が指摘されている。
「あまり気に入らないと思うが...」
北朝鮮は米国の独立記念日にあたる7月4日、ICBM「火星14」型を発射。朝鮮中央通信によると、金正恩氏は発射後に幹部や科学者、技術者を前に
「『独立記念日』に我々から受ける『贈り物』は、あまり気に入らないと思うが、これからも退屈しないように大小の『贈り物』をヤンキーに頻繁に送ってやろう」
と笑顔で語った。これを念頭に置いたのか、9月3日の6回目の核実験の直後、9月5日にスイスのジュネーブで行われた国連の軍縮会議で、北朝鮮の韓大成(ハン・デソン)大使が
「最近の北朝鮮による自衛行動は米国に向けての『贈り物』にほかならない。米国は、北朝鮮に圧力をかけようと無謀な挑発や無駄な試みをあてにするのであれば、北朝鮮から、さらに多く贈り物を受け取ることになるだろう」
と主張。ミサイル発射や核実験を続けることを示唆していた。
過去2回は「ロフテッド軌道」だったが
これまで「火星14」は7月4日と28日の2回発射され、それぞれ高度は約2800キロ、3700キロを記録。いずれも水平距離は900キロ程度にとどまった。これは、通常よりも高い角度で発射する「ロフテッド軌道」だったためだ。そんな中で、韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相は9月7日、安全保障関係の国際会議でのあいさつで、9日の建国記念日について、
「ICBMを通常の角度で発射する追加挑発が続くという予測もある」
と指摘。「予測」の根拠は示さなかったものの、
「非常に厳しい状況であり、北朝鮮の完全な核武装までの時間は多く残っていない」
などと予断を許さない状況であることを強調した。
「射程5500キロ以上の弾道ミサイル」が、国際的にはICBMだとみなされている。北朝鮮西部からアラスカまでの距離は約5200キロ。したがって、北朝鮮が「火星14」を通常の角度で発射した場合はアラスカにも到達する可能性も指摘されている。
韓国情報機関「いつでも核実験可能」
これとは別に、聯合ニュースなど韓国メディアは9月4日、情報機関の国家情報院(国情院)が国会の会合で、北朝鮮が核実験を行っている北東部の豊渓里(プンゲリ)の実験場で「3番坑道」が完成し、いつでも核実験が可能な状態だと報告している。
菅義偉官房長官は9月8日夕方の記者会見で、9日の北朝鮮の建国記念日について
「常日頃から万全の態勢で国民全員の命、財産そして平和な暮らしを守る万全の態勢を取っている。特別という事ではなく、常日頃しっかり(態勢を)取っている」
と述べるにとどめた。