球団の体質、「家族的チーム」の甘さか
他球団でもけがで長期離脱する選手がいないわけではない。だがヤクルトは、今シーズンのように主力級が大勢離れる点で目立つ。
長年プロ野球を取材してきたスポーツジャーナリスト、菅谷齊氏に聞くと、真っ先に「球団の体質」を挙げた。「プロの選手はまず練習できる、けがをしない体づくりが基本。そこに球団がお金をかけていないとしか思えない」と厳しい。また昔から言われている「家族的なチーム」という和気あいあいとしたカラーが悪い方向に出ると、さまざまな面で甘さにつながるのではないかとも指摘した。
逆に、無名の若手選手を練習で鍛え上げて強くなったのが広島だと菅谷氏。たとえ資金が潤沢でなくても、球団側が必要な部分に重点的に投入することでチーム強化につなげていると見る。
阪神タイガースの往年のエース、江夏豊氏は、現ヤクルトのシニアディレクター、小川淳司氏と対談し、2014年12月12日付「週プレNEWS」に掲載された。この時すでにヤクルトのけが人問題が取り上げられ、江夏氏は、「医療以前のトレーニング方法も見直す必要があると思う。ウエイトトレーニングもしかり、なんでもアメリカのまねをしすぎなんじゃないか。日本人の体力とアメリカ人の体力は違うんだから」と指摘していた。
小川氏もウエイトトレーニングの問題点に触れつつ、「医学的な根拠はなく、単に自分の考えですが、トレーニング方法を見直すべきケースも確かにあるように思います」と話していた。
2017年6月21日に開かれたヤクルトの株主総会では、株主からけが人続出の球団について批判的な質問が相次いだ。6月22日付の日刊スポーツによると、衣笠剛球団社長は「(20)11、12、13年はけが人が多かった。(今は)人数的には少なくなっている。けがが出にくい体質づくりを将来に向けて進めていく」と答えたという。また数年前にトレーニング、コンディショニング、リハビリの部門を統一して情報共有を深め、状況は改善しているそうだ。