毎日のわずかな睡眠不足が命とりに がん・認知症を防ぐ「グッスリ」睡眠術

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【あさイチ 話題沸騰!睡眠負債の真実】(NHK)2017年9月4日放送 最新科学で判明!命を守る眠り方とは

   わずかな睡眠不足が、まるで借金のようにじわじわ積み重なる「睡眠負債」。がんや心筋梗塞など命にかかわる病気のリスクを高め、日々の生活の質を下げていることが明らかになっている。

   どう予防・対策できるか。自己チェックテストで自分の眠りを確かめ、眠りのプロが「グッスリ」眠る方法をアドバイスする。

  • わずかな睡眠不足を侮ってはいけない
    わずかな睡眠不足を侮ってはいけない
  • わずかな睡眠不足を侮ってはいけない

6時間睡眠を2週間続けると2晩徹夜と同じダメージ

   番組では冒頭、米ペンシルベニア大学が行った怖い実験を紹介した。被験者を3日間徹夜する組と、睡眠時間6時間の組に分け、注意力や集中力がどう変化するかをテストで調べた。まず徹夜組を見ると、初日、2日目と成績が急激に下降する。一方、6時間睡眠組では、最初の2日間はほとんど変化がない。しかしその後、徐々に脳の働きが低下、2週間後には徹夜組の2晩経過後と同じレベルに下がった。つまり「6時間睡眠を2週間続けた脳は、2晩徹夜した状態と同じ低レベル」になるのだ。

   しかも驚くのはこれからだ。6時間睡眠組は、徹夜組と違って脳の働きの衰えを自覚していなかった。わずかな睡眠不足がじわじわ蓄積した場合、本人はその影響に気づかないのだ。居眠り運転事故はほとんどこのケースだという。

MCの伊ノ原快彦さん「怖いですね。徹夜なら自分の勝手ですみますが、睡眠不足の蓄積は他人に迷惑をかけるわけですね」

   睡眠負債は、がんや認知症などの恐ろしい病気の引き金になる。東北大学が宮城県の女性2万4000人を7年間追跡、睡眠時間と乳がんの発症リスクの関係を調べた研究がある。平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間の人に比べ乳がんリスクが約1.7倍になった。また、米シカゴ大学が行った実験では、睡眠負債の状態のマウスは、睡眠をしっかりとったマウスに比べ、がん細胞が大きく増殖した。がん細胞を攻撃する免疫細胞の働きが低下するからだ。

   米スタンフォード大学の研究でも、睡眠負債のマウスはアルツハイマー病の原因であるアミロイドベータが脳に蓄積しやすくなることが分かった。アミロイドベータは毎日脳内に発生するが、睡眠中に脳のメンテナンスが行なわれ、排出される。睡眠不足になると排出されずに溜まるのだ。アミロイドベータは認知症が発症する20~30年前から蓄積する。働き盛りの40~50代のうちにしっかり睡眠をとらないと60~70代にツケがくる。

睡眠不足は脳卒中、心筋梗塞、うつ病の元に

   睡眠のプロ、睡眠評価研究機構代表の白川修一郎さんはこう説明した。

白川さん「睡眠負債になると、脳卒中、心筋梗塞、うつ病などのリスクも上がり、進行が進みます。従来睡眠は単なる休息と思われてきましたが、不足すると、あらゆる病気・不調の元になることがわかってきました。成人は7時間前後、高齢者でも6時間以上、子どもは8~9時間寝た方がよい。しかし個人差があり、7時間寝ても睡眠負債に陥っている人もいます」

   そこで番組では、自分で確かめられる「睡眠負債チェック」を紹介した。最近の睡眠について8項目の質問に答えて、総合点で危険度を自覚できる。

(1)寝床についてから実際に眠るまでどのくらいの時間がかかったか?
A:寝つきはよかった。
B:少し時間がかかった。
C:かなり時間がかかった。
D:非常に時間がかかった(または眠れなかった)。

(2)夜間、睡眠の途中で目が覚めることがあったか?
A:問題になるほどではなかった。
B:少し困ることがあった。
C:かなり困った。
D:深刻な状態(または全く眠れなかった)。

(3)希望する起床時間より早く目覚め、それ以降眠れないことは?
A:そのようなことはなかった。
B:少し早かった。
C:かなり早かった。
D:非常に早かった(または全く眠れなかった)。

(4)夜の眠りや昼寝も合わせて睡眠時間は足りていたか?
A:十分である。
B:少し足りない。
C:かなり足りない。
D:全く足りない(または全く眠れなかった)。

(5)全体的な睡眠の質についてどう感じているか?
A:満足している。
B:少し不満である。
C:かなり不満である。
D:非常に不満である(または全く眠れなかった)。

(6)日中の気分はどうだったか?
A:いつも通りあった。
B:少しめいった。
C:かなりめいった。
D:非常にめいった。

(7)日中の活動(身体的・精神的)はどうだったか?
A:いつも通りあった。
B:少し低下した。
C:かなり低下した。
D:非常に低下した。

(8)日中の眠気はあったか?
A:全くなかった。
B:少しあった。
C:かなりあった。
D:激しかった。

   A(0点)、B(1点)、C(2点)、D(3点)として点数を付ける。合計で「10点以上」=危険度が非常に高い、「6~9点」=危険度は中程度、「5点以下」=危険度は低い、となる。番組の出演者全員がチェックすると、MCの有働由美子アナが「12点」と最も高かった。

毎朝10分間太陽を浴びるとグッスリ眠れる

有働アナ「週末に寝だめするとか、昼寝をして二分割で『負債』を返す方法でもいいのですか?」
白川さん「両方ともダメです。毎日まとまった睡眠をとらないと、生活リズムが乱れ、平日の睡眠に支障が出てかえって負債を増やす危険があります。一度に返済しようとするのではなく、『コツコツ地道に返す』のがベスト。睡眠は貯金できません。危険度が『中』『高』と出た人の唯一の対策は、毎日これまでより長く寝るようにすることです」

   それにはどうしたらよいか。私たちが眠気を感じるのは、脳から覚醒を妨げ眠りやすくするホルモン「メラトニン」が分泌されるからだ。メラトニンは通常、夜の10時ごろから出始め、午前2時にピークになり、朝の6時ごろに収まる。メラトニンの分泌に合わせて寝るのがいいのだが、寝る前に新聞を読んだり、スマートフォンでメールやSNSをチェックしたりすると、興奮状態になり、メラトニンが分泌しなくなる。また、メラトニンは目に光が入ると出なくなる。寝る前にスマホやテレビを見るのはよくないのだ。

   白川さんは、朝、日光を浴びることが、体内時計の調整・改善に非常に効果的だから、寝つきの悪い人は毎朝外に出るようアドバイスした。

柳澤秀夫解説委員「朝、どのくらいの時間ですか? 曇りの日でもいいのですか?」
白川さん「10分以上です。曇りの日でも、空の明るい方角を見るだけで、効果は得られます。室内の蛍光灯では光量が圧倒的に足りません。女性も朝は日傘を差さずに太陽をしっかり浴びてください」

子どもの昼寝はリフレッシュ、睡眠と思わないで

   また、番組では視聴者からのメールでこんな質問も受け付けた。

母親「2歳の息子がいます。早く寝かしつけたいのですが、毎日9時半ごろの就寝となってしまいます。昼寝をさせているから大丈夫とは思いますが」
白川さん「本当は8時がいいですが、9時半なら仕方ありません。昼間活発に動いているなら問題ありません。昼寝は単なるリフレッシュで、睡眠と思わない方がいいです」
母親「中学生の娘が部活と勉強で普段7時間ほど寝ています。運動部の中学生はどのくらい寝ればいいですか?」
白川さん「運動部の中学生はだいたい10時間必要です。朝の部活をどうにかしないと、どうしようもなくなってきますよ」
20代男性「平日は仕事が忙しくて睡眠時間確保が難しい。休日に寝ることで睡眠負債は返済できていますか?」
白川さん「休日に寝すぎると、その夜は眠れなくなり悪循環となり、体内時計が乱れます。生活を見直して毎日30分・1時間でも早く寝て、遅く起きることを心がけてください」
40代女性「毎日多忙で、夜は3~4時間の睡眠です。それが毎日続くと、長く寝られる日でも必ず3時間程度で目が覚めてしまいます。深く長く寝られるように身体を戻すにはどのような方法がありますか?」
白川さん「これは難しい。習慣づいて3時間で起きる仕組みになっている。逆に言えば、長く寝たくても寝られない悪循環。生活スタイル全般を見直さないと治りません。たとえば、寝る直前に食べると寝付きが悪くなり肥満しやくなるから、睡眠の3時間前に食べ終えることなどから始めるのです」
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