日本にも「弱み」
一方、NPFCは加盟各国に、登録した漁船以外の操業は認めておらず、今回、各国が操業を許可するサンマ漁船の増加に歯止めをかける措置では合意した。
中国でのサンマ需要の増大が今の事態を招いている。日本の食文化の浸透の結果という、日本には皮肉な事態でもある。台湾の漁獲量の急増も、中国への輸出のためだ。
漁法の問題もある。中国の大型漁船による漁が、東北~関東沖に南下してくる前の北太平洋で、資源をさらっていくのだ。日本のサンマ漁船は、せいぜい100トン程度だが、中国は1000トン級の大型船が三陸沖などの公海に進出し、「根こそぎ獲っていく」(水産関係者)という。
日本は2018年のNPFC会合で、改めて漁獲枠の設定を提案する構えだが、中国には登録外の違法操業の漁船も多いとされ、これを含めて、中国が規制を受け入れるよう仕向けるのは容易でない。
ただ、日本にも「弱み」がある。クロマグロの規制に関して、国内沿岸でクロマグロの未成魚(30キロ未満)について、承認のない漁業者が獲ったり、獲った分を報告しなかったりする違反が2016年から相次ぎ、全体の年間漁獲枠(2016年7月~17年6月)をオーバーするという失態を演じたのだ。
「こうした違反がクロマグロ以外の資源保護に影響する」(日経7月26日社説)だけに、「他国に資源管理の強化を求めるためにも、まずは漁業大国である日本自身が範を示す必要がある」(朝日8月16日社説)のは、いうまでもない。