「よく人の目をすり抜けてやったなあと」
同園ウェブサイトによると「EF 70 1001」は1964年製造、1986年廃車、現在は同園でしか保存されていない。取材に応じた従業員によると、マスコンがなくなったことに気付いたのは「今から2年ほど前」といい、警察に盗難届を出し、今回ツイッターで拡散されている貼り紙を車両の窓に掲示した。現在も、外から車両を見ることはできるが、中に入ることはできなくなっている。
「鉄道部品はネットオークションでやり取りされる場合もあるので、どこかに出品されていないかチェックもしていますが、現在まで有力な情報は見つかっていません」
来園客には親子連れも多く、「本来は多くの方々に車内に乗ってもらいたいころ、閉鎖の措置を取らざるを得ず、申し訳ない気持ちです」とし、従業員の間では「なぜこんなものを持って行くのかという疑問と、他のお客様もいるのによく人の目をすり抜けてやったなあ、という呆れに近い思いもありましたね」と当時の心境を明かす。
同園では過去にも展示車両のまさかの部品が盗難に遭っていた。
「以前なくなったのは、ある車両の前方と後方のドアです。溶接機で丸ごととられた跡が残っていました」
ただ、こちらは人物が特定され、ドアも無事戻ってきたという。
こうした「事件」にもかかわらず、今なお運転体験や車内見学の取り組みは続いている。取材した従業員に聞くと、「当園は『見て触れて体験できる』をコンセプトにしています。青天井の下で生きた車両に触れて楽しんでいただくということを大事にしておりますので、部品がなくなった車両以外は今後も車内見学や運転体験は継続していきますよ」と話していた。