黄砂飛来の翌日は心筋梗塞が増える! 最大2.5倍 慢性腎臓病の人が危険

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   中国大陸から黄砂が飛来した翌日、急性心筋梗塞を発症する人が最大約2.5倍も増えていることが熊本大学や国立環境研究所などの調査で明らかになった。

   研究成果は欧州心臓病学会誌「European Heart Journal」(電子版)の2017年8月29日号に発表された。研究チームは「特に慢性の腎臓病の人は心筋梗塞を発症しやすいので注意してほしい」と呼びかけている。

  • 黄砂が心筋梗塞を引き起こす
    黄砂が心筋梗塞を引き起こす
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糖尿病、高脂血症、75歳以上の高齢者もアブナイ

   黄砂が飛来すると、PM2.5、光化学オキシダントや二酸化窒素、二酸化硫黄などの大気汚染物質が増えて、アレルギーや呼吸器疾患の患者が増えることが知られている。心筋梗塞に関しては2014年8月、福岡県内の4つの病院が入院した急性心筋梗塞患者3068人のデータから、黄砂が飛来した日とそうでない日の入院率を比較した研究を発表している。それによると、黄砂飛来から4日後までの入院リスクは1.3倍に高まった。

   熊本大学などの発表資料によると、熊本県内の21の医療機関の協力で、2010年4月~2015年3月までに入院した急性心筋梗塞の患者の発症リスクと、黄砂の飛来日との関連を調べた。調査期間中に熊本気象台が観測した黄砂の飛来日は計41日あった。また、その期間に急性心筋梗塞を発症した患者は3713人いた。黄砂が観測された翌日に発症するリスクを調べると、1.46倍高くなることがわかった。

   ところで、急性心筋梗塞を発症しやすい人には危険要因がいくつかある。75歳以上の高齢者、男性、高血圧、慢性腎臓病、糖尿病、高脂血症などだ。それらの要因を持つ人に「75歳以上の高齢者」(1点)、「高血圧」(1点)、「慢性腎臓病」(1点)、「糖尿病」(1点)などと割り振って加点した。そして、それらを合計、0~6点までのスコアにして、改めて発症リスクを分析した。その結果、スコアが一番高い人々(5~6点)は黄砂の影響をより受けやすく、最大で2.45倍も発症リスクが高くなった。個別の危険要因を調べると、特にリスクが高いのは慢性腎臓病を患わっている人だ。続いて糖尿病、高脂血症、75歳以上の高齢者の順だった。

   研究チームの小島淳・熊本大学特任教授らは発表資料の中でこうコメントしている。

「私たちは、黄砂の飛来が急性心筋梗塞を発症するきっかけになるのではないかと考えています。特に、世界で初めて慢性腎臓病を持っている人が黄砂の影響を受け発症しやすくなる可能性を明らかにしました。黄砂の濃度がどう影響するかなどを研究して、黄砂による健康被害の予防につなげていきます」
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