脳梗塞から過去に例を見ない復帰を果たした
身長196センチ、体重125キロの恵まれた体格で「プロレス界の帝王」とまで呼ばれた高山選手だが、激しいファイトの裏側では、病気との闘いの連続でもあった。
子どものころから喘息を患い、苦労した。その様子をスポーツジャーナリスト、二宮清純氏との対談で明かしている。ウェブサイト「スポーツコミュニケーションズ」2015年3月18日付記事で、「物心ついた時には症状が出ていました。発作が出ると仰向けには寝られない。ずっと横になって一晩中、母に背中をさすってもらっていましたね」「カプセルに入った薬を吸入器に入れて、粉にして吸っていました。発作が出た時は必ずしていましたね。それを吸うと、とりあえずは症状が治まる。ひどい時には毎日、薬を使っていました」
プロレスラーとしてデビューした後も発作に悩まされることがあり、薬でコントロールしながら試合をこなしていたそうだ。
2004年8月には、脳梗塞に見舞われた。当時の様子を、2017年9月4日付のサンケイスポーツ(電子版)が振り返っている。試合後に控室で取材を受けていた時、言葉が出てこなくなり、右半身がしびれて立っていられず、すぐ救急搬送された。発見と処置が早かったのが幸いしたが、最初ははしで豆など小さいものがつかめず、リハビリは自宅近くを歩くことから始めた。それでも2年後に「過去に例を見ない」復帰を果たした。
リングで暴れまわっていたレスラーが全く体を動かせないのだ。精神的に「ギブアップ」しそうになっても不思議ではない。だが「DDT」が9月4日付で発表した高山選手本人のコメントには、「リハビリ頑張りますので今後ともよろしくお願いします」とあった。脳梗塞を克服した男が、けた外れの復活劇に向けて動き出している。