野球ではよく「伸びのあるストレート」とか「切れのあるスライダー」などというが、実際はどんな球をいうのだろうか。スポーツ用品のミズノは2017年9月4日、こうしたボールの回転を目で見えるように解析するボール状のシステム「MAQ」(マキュー)を開発したと発表した。
ボールにセンサーを内蔵、専用アプリケーションと連動させて投手の投げたボールの回転数などを分析、「伸びや切れがある」と呼ばれる球質を可視化する仕組みだ。
感覚的指導から科学的指導へ、ピッチング革命
ミズノの発表資料によると、「MAQ」は硬式球と同じ仕様(重さ・材質・バランス)のボールの中に、微細な電池やセンサーを内蔵する。センサーはボール回転に伴う微弱な地磁気変動をキャッチし、「球速」「回転軸」「回転数」を高速測定し、データを専用アプリに無線で送る。これまで、「伸び」や「切れ」などと感覚的な表現で評価された投球内容を具体的な数値やグラフで把握できる。毎秒50回転以上に達するプロ野球投手の投球も検知可能だ。
近年野球界では、投手の投球パターンや打者の打球方向など、選手の傾向を科学的に分析し試合の戦術に活用することが増えている。これまで投球の回転数を測るためには大がかりな装置が必要だった。「MAQ」はセンサー内蔵型のため、投球練習中にいつでも自分の数値を知り、自分のベストだと思う投球と比較できる。また指導者にとっても、感覚的な指導ではなく、数値に裏付けられたアドバイスができるようになる。ただし、投球練習だけで、打撃練習には使えない。
ミズノは、プロ野球や大学野球などでの実証テストを行い、2018年春の販売を目指す。販売価格は本体1万9800円(税別)、別売り充電器1万5000円(同)を想定している(発売時に変わる可能性あり)。