【あさイチ】(NHK総合)2017年8月28日放送
「何とかしたい!"げっぷ"大研究」
人前で出てしまうとちょっと恥ずかしい「げっぷ」。炭酸飲料を飲むと出やすいイメージがあるが、他にも意外な原因がある。
実は病気が隠れていたり、心のSOSとして発せられているケースも。「たかがげっぷ」とあなどってはいけないのだ。
とんかつやスイーツも原因に
人は何かを飲み込む時、空気も一緒に胃に入れている。たくさん食べるなどして胃がいっぱいになると空気の行き場がなくなり、普段は閉じている胃に近い部分の食道の筋肉「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」が開いて胃から空気を出す。これが口から出てげっぷとなる。
番組に寄せられたアンケートで、げっぷが出やすい食べ物に挙げられたのが「ハンバーグ」だった。
げっぷには、脂質と高脂肪が大きく関与している。脂肪分が十二指腸に入ると、「コレシストキニン」というホルモンが分泌され、小腸での脂質の分解を促すとともに下部食道括約筋を開く作用が働き、胃の中の空気が出てくる。ハンバーグに使われる合いびき肉は、実はかなり脂が多いのだ。
タマネギを加熱すると「セパエン類」と呼ばれるイオウを含む成分が発生し、胸焼けやげっぷを引き起こす場合がある。また、トマトなどの酸性の食べ物が胃酸の逆流を引き起こし、それとともに空気も逆流してげっぷにつながるとの研究論文もある。合いびき肉とタマネギをまぜ、ソースにトマトケチャップを使ったハンバーグは、げっぷの出やすい食材のオンパレードというわけだ。
他にも、ロースとんかつやメンチカツなど高脂質のもの、胃酸が出るのを促す効果があるかんきつ類、胃を刺激する高糖質のスイーツなどがげっぷを出やすくする。
食べ方もげっぷの出やすさに関係する。早食いすると空気を多く吸い込みがちで、鼻から空気を逃がす暇もなくなるため、胃に空気がたまってしまう。
テレビを見ながら食事するとあごが上がった状態で食べることになり、のどに空気が入り込んで胃に流れ込んでしまう。
ストレスがげっぷの原因になる理由は
Aさん(40代)、Bさん(30代)、Cさん(50代)は、大きすぎるげっぷの音や多すぎる回数に悩まされている。3人とも、揚げ物や甘いものが好きで、食べる量も多いという。
番組で消化器内科を受診してもらったところ、全員が軽度の「逆流性食道炎」を患い、食道に「バレット上皮」があると判明した。
逆流性食道炎は、胃で食べ物を消化する胃液が食道に逆流して炎症を起こす病気で、胸焼けや胃液がこみ上げてくる「呑酸(どんさん)」などの症状があり、げっぷもその一つだ。
胃の粘膜は胃酸を中和する粘液に保護されている。通常、食道は胃酸に触れないが、胃酸が逆流するとその酸に負けないように粘膜が胃と同じように変化する。この状態が「バレット上皮」で、ごくまれにがん化するケースもある。
20歳の女性は、中学時代、続けざまに出るげっぷに悩んでいた。きっかけは友人関係のトラブルで、会話もままならないほどひんぱんにげっぷが出た。病院でレントゲンを撮影すると、胃に大量の空気が。「呑気症(どんきしょう)」と診断された。
ストレスが起こると体が緊張してかたくなり、無意識に歯をかみしめてしまう。舌が上あごに付くと嚥下(えんげ)反射を起こし、唾液を飲み込む。同時に3~5ccの空気も一緒に飲み込み、繰り返されるとげっぷの原因となる。
女性はカウンセリングを受け、ストレスが軽減されるにつれてげっぷもおさまった。
受診が勧められる要注意のげっぷは以下の通り。
(1) 生活に支障が出る、外出したくなくなるなど、回数が多すぎる。
(2) げっぷした時に苦い、酸っぱいと感じる。
(3) 胸焼けをともなう。
数日でおさまれば、食べすぎなどによる一時的なものと考えられるが、ひんぱんに起こるようなら病院で相談しよう。