【健康カプセル ゲンキの時間】(TBS系)2017年9月3日放送
寿命を延ばす尻トレ 腰痛改善も!
年を取るとお尻が垂れてくるのは、筋肉が少なくなっていく証拠だ。逆にいえば、美しいお尻を維持することは、健康長寿を維持することにつながる。
また、慢性的な腰痛の陰にお尻の衰えが隠れているという。番組では超簡単なお尻の筋トレと、1人でできる腰痛改善方法を紹介する。
英名門大研究「お尻の大きい女性は知的で健康的!」
番組では冒頭、驚きのクイズが出された。
「英国の名門オックスフォード大学の研究によると、『○○の大きい女性ほど知的で健康』だそうです。さあ、『○○』は何でしょうか?」
正解は「お尻」だ。番組ではそれ以上研究内容を紹介しなかったので、かいつまんで説明しよう。2016年6月、約1万6000人の女性の健康データから明らかにされた報告だ。女性は男性に比べ、ヒップ周りを中心に下半身に脂肪を多く蓄える。そのため、上半身に脂肪が多い男性より心臓病や脳卒中になりにくい。しかも、ヒップ周りの脂肪には「オメガ3脂肪酸」というカラダによい脂肪が多いため、大脳をはじめカラダ全体の健康効果を高める。だから、平均サイズよりヒップの大きな女性は「知的で健康になる」というわけだ。
それはともかく、お尻の筋肉をしっかり鍛え、盛り上がりと丸みをおびた美しいお尻を維持することが健康につながることは間違いない。お尻の筋肉はカラダの中でも最大かつ最強の筋肉だ。カラダを支えてバランスをとるのに重要な役割を担っている。お尻の筋肉が衰えると、カラダに様々な障害が起こる。足がうまく上がらず、階段や段差で転んだり、腰痛や膝の痛みの原因になったりして、要介護の生活に陥ってしまう心配もある。
お尻の筋肉を鍛えるにはどうしたらよいか。筑波大学スポーツ医学専攻の白木仁教授が超簡単な方法を教えてくれた。
白木教授「大股で歩くのです。ポイントは2つ。手を大きく振って歩けるか。その時、左右に大きくお尻が触れているか。この2つができれば、お尻の筋肉を使って歩くので筋肉が鍛えられます」
大股で歩くとお尻の筋肉が鍛えられる
番組では、被験者の下半身の筋肉の各部分に「筋電計」を貼り付けて歩いてもらう実験をした。その箇所の筋肉が使われていれば、電流の波形でわかる仕組みだ。まず、お尻の筋肉を普段から鍛えている女性ダンサーが歩いた。大股でキビキビと、ヒップをカッコよく上げて歩く。お尻の筋肉はもちろん、下半身の筋肉がまんべんなく使っているた。次に若い男女3人が歩いた。両手をだらりと下げた普段どおりの歩き方だ。電流を見ると、ふくらはぎや腿の筋肉を使っているが、お尻の筋肉は全然使っていない。
白木教授が「大股で手を大きく振って歩いてください」と3人に指示を出した。すると、お尻の筋肉の波形が大きく動いた。筋肉を使っているのだ。
白木教授「大股で歩くことによって、お尻が左右に動き、そのスイングで前に進みます。だからお尻の筋肉が使われるのです。よくハイヒールの女性がカッコよくお尻を上げて歩いているように見えますが、お尻の筋肉を全然使っていません。ああいう歩き方を続けると、お尻の肉が下がってきます」
白木教授がもう1つ教えてくれたのが、スクワット(腰割り)だ。両手を首の後ろに組み、足を大きく開いて、深く腰を落とす。ゆっくりやるのがポイントだ。カラダを前に倒したり、しゃがみこむようなポーズになったりしないよう気をつける。カラダを地面に垂直にして、ゆっくり上下させるのがコツ。
お尻の下にテニスボール1個で腰痛改善
ところで、慢性腰痛の陰にはお尻の筋肉の腫れが隠れている場合が多い。長年腰痛に苦しみ、整体に通ってもよくならない60歳女性Aさんが、横浜市立大学付属市民総合医療センターの北原雅樹医師の診療室を訪れた。北原医師はAさんの立った姿勢が前に傾いているのを見て、お尻の筋肉に問題があると見抜いた。お尻の筋肉のバランスが悪いから、前かがみの姿勢になる。Aさんを診察台の上にうつ伏せにさせ、お尻の奥の筋肉を親指で押すと、Aさんは悲鳴を上げた。「梨状筋」(りじょうきん)という深層筋が腫れていた。
北原医師「梨状筋の腫れが腰痛の原因です。腰痛というと整体師は腰の周りしか診ませんから、気づかない場合が多いです」
北原医師はAさんの梨状筋の3か所に鍼を打った。
Aさん「何十年ぶりでしょうか。こんなに腰が軽くなったのは」
北原医師は、スタジオでもMCの三宅裕司・渡辺満里奈さん、アシスタントの春香クリスティーンさんをうつ伏せにさせ、お尻の筋肉をチェックした。すると、春香さんが「ギャア~!」と悲鳴を上げた。やはり、梨状筋が腫れていた。春香さんは痛みのあまり涙を流した。腰痛で悩んでいたという。
こうしたお尻の筋肉の痛む箇所を「トリガーポイント」(痛みの引き鉄箇所)という。北原医師は、お尻のトリガーポイントを1人で簡単にほぐす方法を教えてくれた。硬式テニスボールを使う。
(1)仰向けになり、ボールをお尻の下に置く。グルグルとお尻を動かし、痛いと感じるトリガーポイントにボールを当てる。
(2)それだけでもいいが、反対側のひざを倒してボールに体重をかけると、ちょうどいい力がトリガーポイントに当たる。
(3)1か所30秒程度で、1日に2回行なう(注:野球やゴルフボールは硬すぎるので筋肉によくない)。