2017年9月3日までアニメ「けものフレンズ」とのコラボイベントを展開していた東武動物公園(埼玉県)が、企画の終了後も「ペンギン舎」でのパネル展示を継続することをツイッターで明らかにした。
同園の広報担当者によれば、残るのはペンギン舎の内部に設置されたパネル1枚だけで、他の「けもフレ」関連の展示は4日昼までにすべて撤去したという。いったいなぜ、こうした特別な対応を取ったのか。その理由を、広報担当者に聞くと...。
ペンギンが「(パネルを)ずっと見続けている」
今回「存続」が決まったパネルは、ペンギンを擬人化したキャラクター「フルル」のイラストが描かれたもの。東武動物公園と「けもフレ」のコラボ企画が初開催された17年4月から、同じ場所に立ち続けている。
実は、このパネルがコラボ企画で設置された直後から、インターネット上では、園が飼育する1羽のフンボルトペンギンの「挙動」が大きな注目を集めていた。あるペンギンが、「フルル」のパネルをじっと眺め続け、その近くから離れたくない様子に見えるとして、
「フルルに恋をしてしまったペンギンがいる」
などと話題になっていたのだ。
そのペンギンは、21歳でオスの「グレープ」君。左羽に紫色のバンドを付けているのが特徴だ。そんなグレープ君の様子について、パネル設置直後の4月の取材に園の担当者は、
「(グレープは)パネルに近づいてじっと見ていることが多い」
「何日間もずっと見続けているのは、グレープだけ」
と話していた。グレープ君の様子が変わったことは、飼育員の間でも「今日もまたパネルの前にいる」「いつまでいるんだろ」などと話題になっていたという。
実際、東武動物公園側もグレープ君とフルル(のパネル)の関係に着目。園の公式ツイッターでは2人の動向が定期的に報告されているほか、5月20日にはフルル役を演じる声優の築田行子さんが出演するトークイベントも追加で開催していた。
さらに、6月25日に一度コラボ企画が終了した際にも、第二弾コラボ(7月15日~9月3日まで)の実施を告知すると同時に、フルルのパネル展示は休みなく続けることを伝えていた。
東武動物公園「グレープ君の気持ちを考えて...」
ただ、東武動物公園の担当者は9月4日のJ-CASTニュースの取材に対し、「けもフレ」とのコラボ企画について、「現状、今後の展開は考えていません」と話す。その上で、フルルのパネル展示だけを続ける理由については、
「やはり、ファンの皆様から『パネルを残して欲しい』との強い要望を受けていたことが大きいですね」
と話す。園の元には存続を求める問い合わせが複数寄せられたほか、コラボ最終日は「見納め」を心配した大量のファンが閉園間際までペンギン舎の周りに集まっていたという。
こうした理由を挙げた上で、担当者は、
「グレープ君も変わらずフルルが気に入っているようで、今もパネルの側にいることが多いです。グレープ君の気持ちを考えて存続を決めた部分も、少しはありますかね」
と笑っていた。ちなみに、フルルのパネル展示をいつまで続けるかについては「未定」だという。
なお、パネルの存続を受けてツイッターには、
「フルル続投か~よかったなぁグレープくん...」
「撤去してしまったらグレープくんが落ち込むんじゃないかと心配しておりました。英断に感謝いたします」
「夏休み終了後もフルルのパネル継続決定!!神対応でグレープ君とフルルは離れずに済んだ」
といった喜びの声が殺到。また、フルルを演じる声優の築田さんも3日深夜のツイートで、
「フルルのパネルは残していただけるんですね 良かったー お心遣いが暖かいです ありがとうございます」
などと感謝を述べていた。