「コーヒー飲むと長生き」は人類共通 多人種調査で判明、健康パワーが凄すぎ

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   コーヒーには多くの健康効果が知られているが、欧米で飲む文化が発達したこともあり、これまで白人を対象にした研究が中心だった。

   多民族・多人種でもコーヒーをよく飲むと長生きできるという、2つの研究が米内科学会機関誌「Annals of Internal Medicine(AIM)」(電子版)の2017年8月15日号に同時に発表された。

  • コーヒーの健康効果は人類共通だった
    コーヒーの健康効果は人類共通だった
  • コーヒーの健康効果は人類共通だった

心臓病、がん、うつ、自殺、美肌...何でもアリですか?

   コーヒーの研究効果は、ここ数年発表された内容だけでも次のようにスゴイことになっている。

(1)コーヒーを毎日3~4杯飲むと、飲まない人に比べ、心臓病で死ぬリスクが36%減、脳内出血・脳梗塞など脳血管病で43%減、肺炎など呼吸器病で40%減(2015年:東京大学と国立がん研究センター)。
(2)コーヒーを毎日2杯飲むと、肝硬変になるリスクが43%減、3杯では57%減、4杯だと65%減(2016年:英サウサンプトン大学)。
(3)コーヒーを毎日4~6杯飲むと、子宮体がんになるリスクが25%減、前立腺がんになるリスクが18%減(2012年:米ハーバード大学)。
(4)1日3~4杯のコーヒーを飲むと、飲まない人に比べ、糖尿病のリスクが男性で27%減、女性で29%減(2014年:フィンランド国立公衆衛生研究所)。
(5)1日4杯以上コーヒーを飲むと、うつ病になるリスクが約10%減(2015年:米国立衛生研究所)。1日2~4杯のコーヒーを飲むと、成人の自殺リスクが約50%減(2015年:米ハーバード大学)。

   このほか、パーキンソン病、痛風などに改善、またシミが減る美肌効果の研究まで発表されている。ただ、こうした研究は、(1)の東京大学と国立がん研究センターの研究(日本人約9万人が対象)を除くと、欧米の白人を対象にしたものがほとんどだった。

欧州10か国の多民族、米国の多人種調査で同じ結果

   今回、「AIM」誌に掲載された論文の1つ、南カリフォルニア大学の研究では、対象者を主に「非白人」に絞っている。45~75歳のアフリカ系米国人(黒人)、米国先住民、ハワイ先住民、ラテン系米国人、日系米国人ら計18万5855人が対象だ。コーヒーの摂取量を中心に、食事や生活習慣、病気歴などを詳細にアンケート調査し、平均で約16年間追跡した。

   その結果、コーヒーを1日1杯飲む人は、コーヒーを飲まなかった人に比べ、総死亡率(病気や自殺などで早死にする率)が12%低くなった。さらに、1日2~4杯飲む人では18%低くなった。特に心臓病、呼吸器疾患、脳卒中、糖尿病、腎臓病、がんになるリスクが大きく下がった。これは、従来の白人を中心にした研究結果と同じ内容だ。コーヒーが及ぼす健康効果は人種・民族を問わなかったわけだ。この傾向はカフェインあり、カフェインなし(デカフェ)のコーヒーともに同様だった。

   同誌に載ったもう1つの論文が、英王立ロンドン大学と世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関「IARC」との共同研究によるもの。英、仏、伊、デンマークなど欧州10か国の多民族・多人種52万1330人を対象にした。コーヒーの摂取と健康効果の関連を調べた研究では過去最大規模だ。

   その結果、1日に3杯コーヒーを飲む男性の総死亡率は、飲まない男性に比べ12%減(女性では7%減)だった。病気別では、特に消化器疾患と循環器疾患のリスク減効果が高く、男性では消化器疾患が59%減、女性では循環器疾患が28%減だった。ただし、卵巣がんのリスクだけは、1日3杯飲む女性は飲まない女性より7%高くなった。

   2つの研究とも「酒を飲む量が少なく、コーヒーを飲む量が多い人ほど長生きする傾向がある」という点では共通している。欧州10か国の研究では、各国で飲み方の文化が異なるため、カフェインの有無は調べていない。「IARC」のマーク・グンター博士は論文要旨の中でこう述べている。

「重要なことは、コーヒーを飲む文化や伝統が多様な欧州10か国すべてで、コーヒーを毎日飲むことで健康を得られるという同じ結果を出たことだ。これはコーヒーに含まれる成分に余命を延ばす効果があることを示している」

熱帯の陽射しから裸同然の身を守るコーヒー豆パワー

   しかし、両研究ともその成分が何かは明らかにしていない。東京大学と国立がん研究所の研究発表文では、その成分が「クロロゲン酸とカフェインである」と明言し、こう書いている。

「なぜ、コーヒー摂取で死亡リスクの低下がみられるのでしょうか。第一に、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が血糖値を改善し、血圧を調整する効果がある上、抗炎症作用があります。第二にカフェインには気管支拡張作用があり、呼吸器機能の改善効果があるといわれます。これらの効果が、循環器疾患や呼吸器疾患の死亡リスクを下げていると考えられます」

   全日本コーヒー協会のウェブサイトをみると、コーヒーパワーには植物の生い立ちに秘密がある。コーヒーは赤道直下の熱帯で栽培される。強い紫外線や害虫、細菌から身を守るため、抗酸化作用のあるポリフェノールを持っている。ところで、カカオやココナッツ、ヤシを見るとわかるが、多くの熱帯植物の果実は硬い殻で覆われ、紫外線や虫を防ぐ。しかし、コーヒーは柔らかい無防備な実をつけ、中の種子がコーヒー豆になる。豆は、裸同然でも大丈夫なほど強力な抗酸化力を持つポリフェノールを含んでいる。それが「クロロゲン酸」と「カフェイン」だ。デカフェのコーヒーには、カフェインより強力なクロロゲン酸が含まれるから、同様の健康効果があると考えられるという。

姉妹サイト