価格は5000万円オーバー
FDAによると米国で2014年にALLと診断された患者は5000人で、半数以上が小児や10代の若者となっており、今回のキムリアの承認も25歳以下の若年層が対象となっている。
ALLを発症しても、放射線治療や化学療法など適切な治療を受けていれば生存率向上が見込めると言われている。キムリアが投与できるのはこれらの既存の治療法で効果がなかった難治性の場合や、再発して回復の見込みがない患者に対してで、白血病患者が誰でも好きなように使用できるわけではない。
製造コストが非常に高く、価格は47万5000ドル(約5200万円)と超高額になっているが、ノバルティスは「投与して1か月以内に効果が認められない場合は支払いの必要はない」としている。
新しい治療法ということもあり、FDAはキムリアを使用できるのは認定された医療機関20か所に限定し、今後35か所まで拡大する予定だ。
治療の長期的な安全性の確認はまだ終了していないなど、まったく問題がないわけでもないが、ノバルティス以外の製薬メーカー各社もCAR-T療法の治療薬の開発を次々に進めており、年内にもFDAが審査結果を発表する予定がある。がん治療の新しいステージに進みつつあることは確かだ。